肥後亨

肥後亨の生涯と影響

肥後亨（ひご とおる）は、1926年3月25日に誕生し、1964年3月8日に急逝した日本の政治活動家です。彼は日本の行動右翼に属する人物として知られていますが、伝統的な右翼の枠には収まらない独自の存在でした。東京商科大学（現在の一橋大学）に入学しますが、1年で中退し、その後政治の世界に足を踏み入れました。

経歴の概要

肥後は鹿児島県で生まれ、幼少期には墨田区に移り住みます。旧制東京市立第二中学校を卒業後、陸軍士官学校を目指しましたが、色覚異常のため希望が叶わず、官立の無線電信講習所に進学。その後、学徒動員で海軍に従軍し、終戦を迎えました。戦後は東京商科大学に進学しましたが中退し、参議院での職に就くことになります。

彼は鳩山一郎の秘書として活動し、政治への影響力を高めていきました。選挙に出馬する準備が整うと、台東区の区長選を皮切りに、数多くの選挙に立候補します。彼の選挙活動は、政治ゴロと形容されるようなものでした。実際には名のある政界の人物から資金を受け取り、主に革新陣営への妨害工作を行う目的で出馬していたのです。

政治的活動

肥後は一連の選挙で複数の奇怪な団体名を使用しました。中には「国家社会主義日本労働者党」や「反米遊撃隊」などがあり、彼の活動は時に社会党やその他の革新陣営に対する中傷と選挙妨害に終始しました。彼は強い反米英思想を持っており、選挙運動中には過激な主張を行ったこともあります。特に、在日アメリカ人や親米の日本人を対象とする暴力的な発言の数々は衝撃を与えました。

背番号候補事件

1963年、肥後は「背番号肥後亨事務所」という確認団体を設立し、東京都内の選挙区に26名、千葉県に1名の公認候補を擁立しました。これらの候補たちは背番号を名乗り、大多数が選挙運動をほとんど行うことなく立候補しました。このような戦術は、明らかに選挙の混乱を引き起こすものでした。

議会内部でも肥後の活動が注目されるようになり、彼のグループは他の右翼団体と共に盛んに動き回るようになります。その結果、彼の背後にある政治的なつながりが明るみに出て、厳しい世論が形成されていきました。肥後本人もその影響を受け、選挙用証紙の偽造や選挙運動に関する詐欺で摘発されるなど、さまざまな問題が露呈しました。

突然の死

1964年、肥後は東京拘置所に収監されている最中、急性の高血圧性脳出血で亡くなります。彼の死は、彼が持っていた政治的影響力が崩れていく前兆であり、その後の選挙報道に大きな影響を及ぼしました。マスメディアは彼のような泡沫候補を報道から排除する方針を打ち出し、選挙の公正さに疑問が呈される結果となりました。

総括

肥後亨の生涯は、日本の戦後政治における選挙運動の闇を教えてくれます。彼の特異な活動は、政界の合従連衡とともに変化し続けましたが、結局のところ彼は一度も当選することなく、その生涯を閉じることとなります。彼の存在は日本の政治史における一つの教訓として残り続けています。

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