肥田式強健術

肥田式強健術とは

肥田式強健術（ひだしききょうけんじゅつ）は、肥田春充によって創始された心身の鍛練法であり、その正式名称は聖中心道肥田式強健術です。この技法は、心と体を鍛え、健康な生活を送るための体系的なアプローチを提供します。春充の晩年の著作に記されたところによれば、この体系は次の三つの柱に基づいています。すなわち、強健術、天真療法、宇宙倫理です。

強健術の概要

強健術は、心身の機能を高めるために、以下の八つの要素を満たす必要があります。これらは、"中心力"を用いて腰と腹に同量の力を加えることで心身を鍛えるための基盤となります。

1. 筋肉の発達
2. 内臓の壮健
3. 姿勢の調和
4. 体格の均整
5. 動作の敏活
6. 皮膚の強靭
7. 気力の充実
8. 精神の平静

強健術は多様な技法に分かれており、「簡易強健術」「氣合応用強健術」「椅子運動法」「正中心鍛冶術」「中心力抜刀術」など、各々が中心力を養うことを目指しています。

各種強健術の詳細

• - 簡易強健術：呼吸と動作の調和を図りながら、主要な筋肉群を鍛える技法です。10の型が用意され、具体的な筋肉の部位に焦点を当てています。
• - 氣合応用強健術：独特の動作によって腰と腹に力を込め、全身を鍛える法です。11の型から構成され、全身の筋肉を効果的に鍛えます。
• - 椅子運動法：椅子に座ったままでできる運動で、全身の筋肉と呼吸を調和させます。7つのタイプがあり、上半身から下肢まで幅広く対応しています。
• - 正中心鍛冶術：鉄棒を使用して中心力を鍛える技法で、特に体幹を意識した訓練を行います。
• - 中心力抜刀術：刀を抜くことを通じて中心力を養成する技法で、さまざまな型が存在します。

その他の技術

また、強健術に加えて、静坐や護身術、弁論を通じて中心力を養成する方法も存在します。特に静坐は心を落ち着け、中心を鍛える重要な手段とされています。

天真療法

天真療法は、自己治癒力を高めるための方法で、安静、食養、排泄の三要素から成り立っています。この療法は、人間の体が本来持つ自然な回復力を活用することに重点を置いています。

• - 安静：身体と心の両方を休め、エネルギーを回復させます。患者の状態に応じて安静のレベルが設けられています。
• - 食養：栄養を適切に摂取することにより、体力を維持し強化します。
• - 排泄：適切な排泄を促すことが、健康維持には不可欠であるとされています。

宇宙倫理

宇宙倫理は、哲学、科学、宗教の真理が一致するという思想に基づいており、肥田春充自身の心身の鍛練を通じて結びつけられた体系です。このため、彼は「宇宙大学」と名づけた研究を行い、膨大な原稿を遺しました。この研究は、後に『宇宙倫理の書』として出版されています。

結論

肥田式強健術は、単なる身体的な鍛錬法にとどまらず、哲学的な側面も含む包括的な体系です。この技術は、健康な生活を促進するために心身の調和を重視し、さまざまな要素が組み合わさって構成されています。

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