背徳の夜食

背徳の夜食：我慢の限界を超えた夜に、こぼれる欲望

『背徳の夜食』は、東海テレビと共同テレビが共同制作し、2019年にフジテレビ系列で放送された、全4話のオムニバス形式の単発テレビドラマです。共同テレビが得意とする「食」をテーマにしたオリジナル作品で、東海テレビは「グルメドラマ」、共同テレビは「飯テロドラマ」と銘打っています。

本作は、様々な事情や悩みを抱え、日々の生活の中で強い抑圧状態にある登場人物たちが、我慢の限界を超えた時に、普段は「健康のため」「美容のため」と自制してきたジャンクフードを、欲望のままに貪り食う姿を描いています。その際、登場人物たちが恍惚の表情を浮かべる様子は、視聴者の共感を呼び、大きな話題となりました。

第1弾は、「汁だく牛丼編」と「背脂ラーメン編」の2エピソードで構成されています。

汁だく牛丼編：理想の妻像と裏腹な現実

主人公の仁美は、恋人の浩史に太ったと指摘されたことをきっかけに菜食主義となり、体重管理を徹底する完璧主義の女性です。浩史と結婚後もその生活を続け、ブログでヘルシーな献立を公開するなど、理想的な妻を演じています。しかし、実際は浩史の多忙と冷淡な態度に心を痛めていました。

ある日、浩史の不倫の証拠となるホテルのメンバーズカードを発見した仁美は、深い悲しみに打ちひしがれます。結婚記念日の夕食の約束を破られた仁美は、衝動的に牛丼屋に駆け込み、今まで我慢してきた汁だく牛丼をビールと共に食べ、溜まっていたストレスと悲しみを爆発させます。

背脂ラーメン編：クールなビジネスマンの隠された弱さ

会社では有能なビジネスマンとして一目置かれている祐介は、家庭では妻の沙織に完全に尻に敷かれている状態でした。健康診断で悪い結果が出たことをきっかけに、厳しい食事制限を課せられます。

我慢の日々の中、上司に連れ出された居酒屋で、部下たちが異動願いを出していたことを知ります。祐介は部下たちとの良好な関係を築いていただけに、この事実を深く受け止めきれません。

深いショックと孤独感に襲われた祐介は、酒を飲み、ラーメン屋に立ち寄ります。罪悪感と後悔に苛まれながらも、背脂たっぷりのラーメンをすすり、日々のストレスを解消しようとするのです。

第2弾では、「チーズタッカルビ編」と「激辛ラーメン編」が放送されました。

チーズタッカルビ編：友情と裏切り、そして女の戦い

このエピソードでは、女性同士の複雑な人間関係と、チーズタッカルビを囲んで繰り広げられる、激しい感情のぶつかり合いが描かれています。

激辛ラーメン編：家庭の事情と葛藤

激辛ラーメンを前に、家庭の事情を抱えた登場人物たちが、それぞれの葛藤と心の内を吐露する様子が描かれます。

『背徳の夜食』は、それぞれの登場人物の背景や事情、そして彼らが抱える葛藤を丁寧に描きながらも、美味しそうな料理シーンを効果的に使用することで、視聴者の食欲と共感を同時に刺激する作品となっています。登場人物たちの感情表現、そして魅力的な料理の数々は、多くの視聴者の心を掴み、大きな反響を呼びました。 ドラマ全体を通して、現代社会における人間関係の複雑さや、日々のストレス、そして「食」が持つ癒しの力を深く考えさせられる作品と言えるでしょう。

もう一度検索