背徳の瞳〜Eyes of Venus〜

背徳の瞳〜Eyes of Venus〜について

「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は、1992年1月18日に小室哲哉とYOSHIKIが結成した期間限定ユニットV2によってリリースされたシングルです。この曲は、オリコンチャートで初登場2位を記録し、累計で47.7万枚の売り上げを誇るなど、発売当初から高い人気を得ました。シングルのジャケットにはV2ロケットが描かれ、視覚的にも印象深い仕上がりになっています。

シングルには、後に小室哲哉が発表したコンピレーション・アルバム『TK BEST SELECTION IN EPIC DAYS』にリマスター版が収録されており、さらに彼の2012年のリミックス・アルバム『Digitalian is remixing』にはピアノ・ソロ・バージョンも含まれています。

制作の経緯

この曲の制作は、小室哲哉とYOSHIKIが音楽的な共通点を感じていたことから始まりました。YOSHIKIはXのツアー「Violence In Jealousy Tour 1991」の東京ドーム公演を終えた後、彼の音楽スタイルに合ったコードを用いたデモを小室に渡しました。このデモは曲のイントロの基になっており、最終的には小室とYOSHIKIのピアノによる二重奏が実現しました。

当初はYOSHIKIが他のバンドからボーカリストを起用する計画もありましたが、実際には小室が仮歌として録音したものがそのまま使用されました。このことは、曲の制作過程における意外な転機となったのです。

収録曲

シングルには次の2曲が含まれています。
1. 背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
2. Virginity

特に「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は、YOSHIKIがメロディやコーラスを考案しながら、ドラムとピアノを組み合わせて作り上げた楽曲です。一方で「Virginity」は、小室が発案したボレロのスタイルで制作されたもので、YOSHIKIが先に録音した後に小室が日本語歌詞を制作しました。

音楽的特徴

このシングルの楽曲は非常に異なるスタイルのものとなっています。「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は、キャッチーで派手なサウンドが特徴であり、YOSHIKIと小室の音楽的要素が見事に融合しています。市川哲史の評価によると、両者のメロディが自然に絡み合っており、「TMX」という形容がぴったりの楽曲です。一方「Virginity」は、実験的な要素が強く、YOSHIKIがこだわったリズムとボレロの融合が独特の魅力を生み出しています。

評価と影響

リリース後、シングルは音楽ファンの間で大きな話題となり、アートとしてのアプローチが高く評価されました。市川はこの作品が「純粋なアーティスティックな遊び」であり、戦略性が感じられない点が逆に重要だと述べています。

その後、小室とYOSHIKIのコラボレーションが一時的なものであったことも影響し、リリースの独自性が際立つ結果となりました。「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は、音楽シーンにおいて特別な位置を占める名曲として今も語り継がれています。

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