脂肪吸引

脂肪吸引（しぼうきゅういん）についての詳細

脂肪吸引は、特別なカニューレを用いて皮下脂肪を取り除く美容外科手術の一つです。この手術は、皮下脂肪が気になる方や、特定の部位の脂肪を減少させたい方、またダイエット後のリバウンドが気になる方に向いています。

脂肪吸引の方法

手術では、まず脂肪を減らしたい部位にカニューレを挿入し、陰圧を利用して脂肪を吸引して除去します。従来の方法では、脂肪切除術が一般的でしたが、脂肪吸引は小さな傷で済むため、現在ではより多くの人々に選ばれています。術前には、止血と鎮痛を目的とした概要液（チュメセント麻酔液）を注入し、吸引を行います。この手法は「WET法」として知られています。

従来のWET法では、脂肪を直接吸引するため体に負担をかけることがあります。しかし、技術の進歩により、ケアが行き届くようになり、術後の皮膚のデコボコや質感の悪化が改善されています。ただし、手術の仕上がりは依然として施術者の技術に影響されるため、慎重に選ぶ必要があります。一般的には、手術で吸引できる脂肪の量は、顔で30cc、腹部や太ももで1,000ccから3,000ccが目安です。

脂肪吸引のリスク

脂肪吸引は安全性が確保されているとは言えず、リスクを伴う手術です。1980年代には麻酔科医の管理下にない状況での吸引が多く、さまざまな麻酔事故や出血の問題が報告されました。そして、チュメセント法の導入により出血事故は減少したものの、局所麻酔薬や止血剤の誤投与により死亡事故も発生しています。たとえば、2009年には東京都で不適切な操作により女性が死亡した事故が発生し、医師が有罪判決を受けました。また、様々な合併症も考えられます。良くあるものとしては、感染症や出血、脂肪塞栓症などがあります。

さらに、脂肪細胞の除去は見た目の改善に寄与するものの、内部での脂肪の再分配や食生活の変化に対しては十分な解決策とはなりません。過剰な吸引により、他の部位に脂肪がつきやすくなるリスクや、過食傾向の緩和が進む場合もあります。治療目的での脂肪吸引は、過食症などの解消に役立つわけではなく、慎重に考える必要があります。

脂肪吸引技術の種類

脂肪吸引技術も進化を続けており、さまざまな方法があります。これには、体内式・体外式の超音波脂肪吸引、PAL（パワーアシスト）法、エルコーニアレーザー脂肪吸引、ボディジェット脂肪吸引、ベイザー脂肪吸引などがあり、それぞれの特性により吸引の効率や体への負担が異なります。

• - 超音波脂肪吸引: 脂肪に直接超音波を照射して細胞を破壊します。
• - PAL脂肪吸引: カニューレが振動し、脂肪を効率よく吸引します。
• - エルコーニアレーザー脂肪吸引: レーザーで脂肪を柔らかくし、カニューレで吸引します。
• - ベイザー脂肪吸引: 特殊な振動エネルギーを使用して脂肪を柔らかくし、効率的に吸引できます。

結論

脂肪吸引は確かに美容の手段として注目されていますが、リスクを伴う医療行為です。自らの体について深く理解し、しっかりとした情報をもとに意志決定を行う必要があります。そして、専門の医師選びも大切な要素となります。安全で効果的な施術を選択するためにも、信頼できる施設と医師と相談しながら、慎重に進めていくことが大切です。

もう一度検索