脱水ケーキ

脱水ケーキ

脱水ケーキとは、浄水場や下水処理場などの水処理施設で、原水や排水に含まれる汚泥を濃縮・脱水した後に残る固形物のことです。特に下水処理場では、汚泥には有機物が豊富に含まれており、放置すると腐敗による悪臭や感染症のリスクがあるため、適切な処理が不可欠です。この記事では、下水処理場で発生する脱水ケーキを中心に解説します。

脱水処理のプロセス

水処理によって発生した汚泥は、その99%以上が水分で構成されています。そのまま焼却処分するには水分が多すぎるため、事前に脱水処理を行い、水分量を約75%程度まで減らす必要があります。この脱水処理を経て生成されたものが脱水ケーキです。脱水ケーキを焼却すると、通常はその重量の約2%にあたる焼却灰が発生します。

脱水処理には、さまざまな種類の脱水機が用いられます。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

フィルタープレス: 汚泥に圧力をかけ、濾布を通して水分を分離する。
ベルトプレス: 2本のベルトの間に汚泥を挟み込み、圧力をかけながら脱水する。
真空脱水機: 減圧状態を利用して汚泥から水分を吸引する。

これらの脱水機は、汚泥の種類や処理量に応じて使い分けられます。

脱水ケーキの用途と課題

脱水ケーキは、通常、焼却処分された後に産業廃棄物として埋め立てられます。しかし、埋め立て処分場の容量には限りがあり、環境負荷も大きいため、脱水ケーキの有効利用が求められています。

脱水ケーキの再活用例としては、以下のようなものがあります。

園芸用土: 脱水ケーキを堆肥化し、園芸用土として利用する。
セメント原料: 脱水ケーキを焼却し、その焼却灰をセメントの原料として利用する。
建材原料: 脱水ケーキを整形・焼却し、レンガなどの建材の原料として利用する。

これらの再活用は、資源の有効利用や廃棄物量の削減に貢献する一方で、品質の安定性や安全性、コストなどの課題も存在します。例えば、脱水ケーキに含まれる重金属などの有害物質が再利用後の製品に影響を与えないように、適切な処理や管理が不可欠です。

環境負荷低減への取り組み

脱水ケーキの有効利用は、環境負荷低減に大きく貢献します。埋め立て処分量の削減はもちろんのこと、焼却量の削減にもつながり、温室効果ガスの排出抑制にもつながります。また、セメントや建材の原料として再利用することで、天然資源の消費を抑えることも可能です。

今後、脱水ケーキの再活用技術の開発や、再利用製品の品質向上、安全性の確保などが進むことで、より持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

関連項目

水処理

外部リンク

脱水ケーキができるまで (PDF)
* 移送の学び舎 脱水ケーキ ヘイシンモーノポンプ

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