脱線係数

脱線係数について

脱線係数（だっせんけいすう、英: derailment quotient）は、鉄道車両の安全性を指標として評価するために用いられる値です。この値は、車両の車輪にかかる横圧をその車輪の輪重で割ったもので、脱線のリスクを示唆します。さまざまな状況での車両の脱線発生の可能性を把握するために、この指標は重要な役割を果たします。

脱線係数の定義

通常、鉄道車両の車輪は、特別な構造を持つ車輌を除き、1つの車軸上に左右の車輪が固定されています。この脱線係数は、車輪がレールに対して横方向にかける力（横圧）Qと、下方向にかける力（輪重）Pの比、すなわちQ/Pによって定義されます。日本においては、このQとPが一般的に用いられていますが、西ヨーロッパやアメリカ合衆国ではそれぞれ異なる表記が使われていることに注意が必要です。

脱線の種類

脱線係数に関連する脱線の種類について、日本国内では1963年に発生した鶴見事故を受け、安全基準が策定されました。この基準では、脱線が次の3つの形態に分類されています。
1. 乗り上がり脱線
2. 滑り上がり脱線
3. 跳び上がり脱線

乗り上がり脱線

乗り上がり脱線は、フランジがレールに接触した状態で車輪がレールの上に乗り上がり、脱線する形態です。この状態は、車輪がレールへの接近方向にある時に起こります。

滑り上がり脱線

滑り上がり脱線は、車輪がレールから離れつつ外力によってレールに乗り上げて脱線する現象です。

跳び上がり脱線

跳び上がり脱線とは、フランジがレールに衝突することで車輪が跳び上がり、レールを乗り越えて脱線する場合を指します。この現象は、通常はフランジがレールに接触しなくなる状況で発生します。

脱線係数の安全基準

安全基準として、脱線係数がどのような値であれば安全とみなされるのかは、これまでも様々な基準が提案されています。基準は一般に、実際の走行試験から得られるデータに基づいています。この基準を下回る場合、脱線の危険性は低いとされます。

ナダルの式と脱線係数

特に乗り上がり脱線においては、ナダルの式がよく使用されます。この式は、車輪・レール間の摩擦係数や接触角度を考慮に入れたもので、脱線係数に影響を与える重要な因子を明らかにします。

測定方法

脱線係数は、鉄道車両の走行試験を通じて評価されます。車輪にはひずみゲージが貼り付けられ、これにより輪重と横圧が測定されます。また、より簡易的な測定方法も研究されています。

このように、脱線係数は鉄道車両の安全性を評価するための重要な指標であり、その測定と解析は鉄道の安全運行にとって不可欠です。

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