脳内ポイズンベリー

脳内ポイズンベリー

『脳内ポイズンベリー』は、細かい心の動きを老若男女のキャラクターたちが会議のように議論するというユニークな構成で描かれた、水城せとなによる漫画作品です。この作品は、2010年から2015年まで、雑誌『コーラス』にて連載され、単行本は全5巻にまとめられました。2015年には主演に真木よう子を迎えた実写映画も公開され、話題を呼びました。

あらすじ

物語の主人公、櫻井いちこは、30歳を目前にして恋愛に悩む日々を送っています。たまたま参加した飲み会の場で、23歳の若者に一目惚れ。さて、彼に声をかけるべきかどうか、彼女の脳内では様々な意見が飛び交います。いちこは、過去の経験からのトラウマと格闘しつつ、自身の本音を勇気を持って告白する決意をします。

登場人物

• - 櫻井いちこ: 30歳のフリーターで、かつての結婚予定だった相手に裏切られた過去を持つ。手芸が趣味で、心の内部にはキャラクターたちが存在する。
• - 吉田: 会議の議長をつとめるメガネ男子で、周囲の意見に流されがち。
• - 池田: 否定的な思考を持つ女性で、全てに消極的な姿勢を貫いている。
• - ハトコ: 子供のように凱旋した感情を表現する少女。嬉しさや悲しみをダイレクトに示す。
• - 石橋: ポジティブ思考の元気いっぱいのキャラクターで、時にハトコと共に感情を盛り上げる。
• - 黒い女: 恋愛に関する議論がまとまらないときに現れ、いちこの本能に訴えかける存在。
• - 早乙女亮一: いちこが恋する美大出身の23歳フリーターで、いちこの告白によって交際が始まる。
• - 越智: いちこのケータイ小説に興味を持つ出版社社員で、早乙女の兄。
• - 川上礼子: いちこの友人で、彼女を合コンに誘う。

書誌情報

作品は、水城せとなの手により、集英社の「クイーンズコミックス」から全5巻が出版されています。

映画化

2015年5月9日に公開された映画版では、真木よう子がいちこ役を演じ、その他にも西島秀俊や神木隆之介といった豪華キャストが揃っています。映画は幅広い観客に受け入れられ、興行成績も好調でした。主題歌にはクリープハイプの「愛の点滅」が使用され、作品を一層盛り上げる要素となっています。

舞台公演

この作品は舞台化もされ、2020年には新国立劇場で初演が行われ、以降にも再演が続いています。舞台では異なるキャストが役を演じ、それぞれの解釈で物語を感じさせる新たな試みが展開されています。

余談

この作品では、若干の設定が原作から変更されるシーンもあります。たとえば、いちこが食事をするシーンでは、漫画では吉野家だったのが映画ではすき家に設定されています。また、公開前に特別なプロモーションも展開され、観客やファンとのつながりを大事にする姿勢が見受けられました。

『脳内ポイズンベリー』は、キャラクターたちの個性が輝く心の葛藤を描いた魅力的な作品です。

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