腐敗認識指数

腐敗認識指数（CPI）とは？

腐敗認識指数（Corruption Perceptions Index、CPI）は、国際的な非政府組織であるトランスペアレンシー・インターナショナル（Transparency International、TI）が毎年発表する指標です。世界各国の公務員や政治家の汚職に対する認識度を数値化し、国際比較することで、各国の汚職の深刻さを可視化することを目的としています。1995年以来、毎年発表されており、世界各国の政府機関や国際機関による汚職対策の進捗状況を測る上で重要な役割を果たしています。

CPIは、0～100点の尺度で評価されます。100点に近いほど汚職が少なく、透明性の高い社会であることを示し、逆に0点に近いほど汚職が蔓延していることを意味します。多くの国が50点未満であり、特に開発途上国では9割以上の国が50点未満という現状です。この数値は、その国の汚職の現状を直接的に測るものではなく、ビジネスパーソンや専門家の「認識」に基づいた評価であることに注意が必要です。

CPIの算出方法

CPIは、複数の情報源から得られたデータを統計的に処理して算出されます。具体的には、世界銀行や国際通貨基金など、信頼性の高い複数の機関が実施した調査結果を分析し、それらを統合することで、より客観的な指標を目指しています。2009年の調査では、10の機関が実施した13種類のアンケート調査が用いられました。これらの機関は、アジア開発銀行、アフリカ開発銀行、ベルテルスマン基金、世界銀行、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット、フリーダムハウス、グローバル・インサイト、国際経営開発研究所（IMD）、政治経済リスクコンサルタンシー、世界経済フォーラムなどです。

調査対象は、世界中のビジネスマンや、各国情勢に精通した専門家です。一般市民を対象とした調査ではない点が特徴です。これは、一般市民による回答は、情報量の不足や、主観的な意見が入り込みやすいという点を考慮したためです。ビジネスマンや専門家は、より多くの情報にアクセスし、客観的な視点を持つことができるという考えに基づいています。ただし、この方法論は、一部の専門家の偏見や、特定の企業や業界の影響を受ける可能性もあることを留意すべきです。

各国のランキングは、これらの調査結果に基づいて算出されます。最低でも3つの情報源からのデータが利用できる国についてのみ、ランキングが作成されます。これは、データの信頼性を確保するためです。

CPIの限界と課題

CPIは、世界各国の汚職状況を把握する上で非常に有用な指標ですが、完璧なものではありません。いくつかの限界があります。まず、CPIはあくまでも「認識」に基づいた指標であるため、実際の汚職の発生件数や規模を正確に反映しているとは限りません。また、調査対象がビジネスマンや専門家に限定されているため、一般市民の視点が反映されていない可能性があります。さらに、調査対象国の数や、利用可能なデータの量によって、精度のばらつきも生じます。

これらの限界を踏まえた上で、CPIは、世界各国の汚職対策の進捗状況を把握する上で、重要な参考資料となります。各国の政府や国際機関は、CPIのデータに基づいて、汚職対策の政策を立案・実施し、より透明性が高く、公正な社会の実現を目指しています。今後も、CPIのデータは、世界的な汚職対策の取り組みにおいて重要な役割を果たし続けるでしょう。

もう一度検索