腓腹筋

腓腹筋：ふくらはぎの重要な筋肉

腓腹筋は、人間の下肢に位置する筋肉であり、ふくらはぎを形成しています。主な役割は、足関節の底屈（つま先を下げる動作）と膝関節の屈曲（膝を曲げる動作）です。ここでは、腓腹筋の構造、機能、そして健康との関わりについて詳しく解説します。

腓腹筋の構造

腓腹筋は、左右の足それぞれに内側腓腹筋と外側腓腹筋の2つの筋肉で構成されています。

内側腓腹筋: 大腿骨の内側顆の上方から起始します。
外側腓腹筋: 大腿骨の外側顆の上方から起始します。

これらの筋肉は下行し、膝窩（膝の裏側）の下方でヒラメ筋の腱と合流し、最終的に踵骨隆起（かかとの骨）に停止します。一部の線維は関節包から起始します。

腓腹筋の機能

腓腹筋は、足関節の底屈と膝関節の屈曲という2つの主要な機能を果たします。

足関節の底屈: つま先を下げる動作であり、歩行やジャンプなどの動作に重要です。
膝関節の屈曲: 膝を曲げる動作であり、同様に歩行や運動に不可欠です。

第2の心臓としての腓腹筋

ふくらはぎの筋肉は、「第2の心臓」とも呼ばれています。これは、下半身の血液を上半身に循環させる上で重要な役割を果たしているためです。

筋ポンプ作用と静脈弁

足は人体で最も低い位置にあり、血液は重力に逆らって上半身に戻る必要があります。この血液を押し上げる役割を担うのが、ふくらはぎの「筋ポンプ作用」と静脈中の「静脈弁」です。

筋ポンプ作用: ふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、静脈を圧迫し、血液を押し上げます。
静脈弁: 静脈には、血液の逆流を防ぐための弁が多数存在します。筋肉が収縮すると弁が開き、血液が押し上げられます。筋肉が弛緩すると弁が閉じ、血液の逆流を防ぎます。

下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群

静脈弁の機能が低下すると、血液が逆流し、下肢静脈瘤の原因となります。下肢静脈瘤の症状としては、足の血管が浮き出る、足が攣る、足がむくむなどが挙げられます。

また、ふくらはぎの筋肉が弱ると、血液が鬱滞し、血栓ができやすくなります。これは、エコノミークラス症候群（深部静脈血栓症）のリスクを高めます。熊本地震の際に車中泊を余儀なくされた人々に多く発症したことからも、その関連性が示唆されます。

健康維持のために

腓腹筋の健康を維持することは、全身の血液循環を改善し、様々な健康問題の予防につながります。適度な運動やストレッチ、マッサージなどで、ふくらはぎの筋肉をケアすることが大切です。

関連項目

腓返り
ヒラメ筋

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