臣道連盟

臣道連盟について

臣道連盟（しんどうれんめい）とは、ブラジルに住む日本人移民の間で形成された国粋団体であり、特に太平洋戦争において日本の敗戦を信じない人々によって結成されました。その活動は1945年7月頃に始まり、国交が断絶した戦時中の厳しい状況の下で広まりました。

情報の遮断

1941年の太平洋戦争開戦と共に、日本とブラジルの外交関係は断絶し、在外公館の閉鎖が相次ぎました。この事態により、日本人移民は正確な情報から隔絶され、戦時特別取締令により様々な規制に直面しました。サンパウロ州では日本語の使用が禁止され、国歌の演奏や天皇の肖像の公的掲示も許されず、多くの移民はポルトガル語の新聞を読むこともできない状態でした。このような情報の遮断により、彼らは日本が戦争に負けたという事実を理解することができず、次第に日本が勝つという幻想を抱くようになったのです。

組織の結成

このような状況の中、戦争の敗色が濃くなる1945年7月を過ぎると、臣道連盟が実質的に結成されました。移民の中には偽情報を流布する者が現れ、特に日本人を狙った詐欺が横行しました。臣道連盟はサンパウロ市のジャバクアラ地区に本部を構え、50以上の支部を設立しました。会員数は家長だけで約3万人、家族を含めると12万人にのぼるとされました。彼らは、忠君愛国の思想を持ち、さまざまなデマを流しながら、帰国運動や再移住運動などの実現不可能な活動を推進しました。この組織は、日本本土での大政翼賛会を模範とし、多くの団体を統合し、時には過激な行動に走ることもありました。

「負け組」への攻撃

戦時中、臣道連盟は「負け組」と称される人々を攻撃しました。ハッカや生糸など、日本の特産物に対し、軍需品であるというデマを広めつつ、それを生産した者を非難しました。このような行動により、彼らはハッカ畑の破壊や養蚕小屋の焼き討ちといった暴力行為に及ぶこともありました。敗戦後には、祖国の敗北を認めない「勝ち組」に対し、情報の事実を受け入れることができた人々による対立が生じました。この争いの結果、23人が暗殺され、147人が負傷しました。ブラジルの治安警察は、臣道連盟の幹部を次々に検挙し、最終的には数百人が厳しい刑罰を受けることとなりました。

影響

臣道連盟に関連する事件は、ブラジルの日本移民社会に深刻な影響を与えました。この問題は1970年代初期にまでタブー視され、多くの日本人移民が事実を知ることなく過ごしました。その後、日本移民社会がある程度安定を取り戻すのは十年後のことであり、当時の世代は親から受けた影響で誤った認識を抱くこともありました。このような状況の中で、勝ち組と負け組の闘争は階級的な対立をも示唆していました。認識派の「負け組」は、現実を受け入れ、社会的な地位を得る一方で、勝ち組の中にはその逆の立場にある者も存在しました。

臣道連盟事件は、日本人移民が集中している地域に影響を与える重要な出来事でしたが、ブラジル全体の日本人に直接影響を及ぼすものではありませんでした。このような歴史的な背景を踏まえ、移民の社会的な影響や文化的な認識は今なお研究の対象となっています。

もう一度検索