臨時代理大使

臨時代理大使とは

臨時代理大使（りんじだいりたいし、フランス語: chargés d'affaires ad interim）とは、外交使節団の長である特命全権大使、特命全権公使、または代理公使が不在の場合に、臨時にその職務を代行する外交官のことです。略して「臨代（りんだい）」とも呼ばれます。

代理公使も外交使節団の長の一つの階級ですが、臨時代理大使はあくまでも長が不在時の代理という点が異なります。つまり、臨時代理大使は、大使や公使といった正式な外交使節団の長がいない状況下で、その役割を一時的に担う存在です。

臨時代理大使が設置される理由

臨時代理大使が置かれる主な理由は、外交使節団の長が一時的に職務を遂行できない状況が生じた場合です。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

病欠: 大使や公使が病気で職務を遂行できない場合
一時的な離任: 出張や休暇などで一時的に任国を離れる場合
後任未着任: 前任の大使や公使が離任し、後任者がまだ着任していない場合
大使派遣に至らない事情: 派遣国側の事情により、正式な大使を派遣できない場合
大使召還: 外交上の問題で大使が本国に召還された場合

特に、治安状況が不安定な国では、まず臨時代理大使を長とする大使館を設置または再開し、状況が安定した後に正式な大使を派遣するという方法が取られることがあります。例えば、アフガニスタンやイラクなどが該当します。また、外交関係において、相手国への抗議として大使を召還し、臨時代理大使を置くという措置が取られることもあります。中国がリトアニアとの外交関係において行った措置がその例です。

臨時代理大使の任命

臨時代理大使は、通常、当該使節団の構成員の中から、大使に次ぐ立場の外交官が自動的に任命されます。一般的には、公使や参事官といった幹部職員がその任に就きますが、大使館の規模が小さい場合には、若手の書記官が任命されることもあります。

臨時代理大使の呼称

臨時代理大使は、その呼称においても正式な大使とは区別されます。特命全権大使の公文書上の一人称は「本使」、二人称は「貴使」で、敬称は「閣下」ですが、臨時代理大使の場合、一人称は「本官」、二人称は「貴官」、敬称は「殿」となります。

臨時代理大使の重要性

臨時代理大使は、外交使節団の長が不在の場合でも、外交活動を滞りなく継続するために重要な役割を果たします。外交関係の維持、情報収集、交渉など、大使と同等の職務を代行することで、国家間の円滑なコミュニケーションを支えていると言えるでしょう。

関連情報

外交官
大使
公使
* 外交使節団

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