自動給炭機

自動給炭機について

自動給炭機（じどうきゅうたんき）は、蒸気機関車や蒸気船など蒸気機関のボイラーに石炭を供給するための装置です。この機器は、メカニカルストーカー（Mechanical stoker）や単にストーカーとも呼ばれています。英語での発音は「ストウカー」であり、同音異義語の「ストーカー」とは異なる点に注意が必要です。

概要

自動給炭機は、炭水車からスクリューを用いて石炭を運転室まで運び、蒸気を利用して火室に供給します。ただし、急勾配を上る際などに蒸気が必要となる場合は、手動での投炭が必要でした。この技術は、1901年にアメリカで蒸気機関車用に開発され、その後1905年ごろから普及が始まりました。1938年には法律により、大型のSLには自動給炭機の搭載が義務付けられ、その後日本にも導入されることとなりました。

日本では1948年に製造されたC62形やC61形などの蒸気機関車に自動給炭機が装備され、戦時型のD52形でも装備の改造が行われました。また、常磐線用のD51形の一部でも、熱量の低い石炭を扱うために搭載されました。復元されたC61 20については、現在の石炭の質が高いため自動給炭機なしでも十分な投炭が可能であることや、重油併燃の導入、運行技術の継承の必要性から、自動給炭機は取り外されました。

利点

自動給炭機の最大の利点は、機関助士が石炭を手作業で投げ入れる重労働から解放される点です。また、火格子面積が広い蒸気機関車では、このシステムが必須となるため、多くの国で導入されました。これにより運行の効率性が大幅に向上し、機関士は他の業務に集中することができました。

欠点

しかし、自動給炭機にもいくつかの欠点が存在します。まず、給炭機自体に個体差があり、それを理解して正しく使用する技術が求められました。また、装置の構造が複雑でメンテナンスが不十分になることもありました。さらに、石炭が炭水車から運ばれる過程で砕かれて粒径が小さくなり、煙突から噴出するシンダが発生します。これによりエネルギー損失が増え、運転士や乗客への影響が悪化しました。加えて、燃えかけのシンダによる沿線火災のリスクも増え、周辺環境にとって大きな問題となりました。

参考文献

- 横堀 進「自動給炭機（ストーカー）焚き機関車について」『燃料協会誌』第30巻第3-4号、1951年、95-99頁。
- てつどうシリーズ「きょうりゅうマシーン」いいお かずお著、edu comics press 2022年。

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