自動警戒管制組織

自動警戒管制組織（BADGE）

自動警戒管制組織、通称BADGE（Base Air Defense Ground Environment）は、航空自衛隊の防空指揮管制システムです。1969年から2009年までの40年間、運用されており、航空警戒と要撃に必要な情報を提供するための自動化されたシステムでした。BADGEの導入により、航空自衛隊の防空能力は大きく向上しました。特に、航空機の航跡情報や指揮命令を迅速に処理するハイテクな機能が加わったことが特徴です。

BADGEの背景

航空自衛隊は1954年に設立され、安全保障のために航空警戒管制の自力運用を模索し始めました。1960年代初期にはF-86Dなどの要撃機を用いて、防空監視の手動運用が行われていましたが、レーダーからの情報を音声で伝達し、手書きで表示するというアナログ方式では、迅速な対応には限界がありました。これにより、防空体制の自動化が求められるようになり、BADGEの開発が必要とされました。

1963年、ヒューズ社が開発した戦術航空火器管制システム（TAWCS）が採用され、これが日本の防空指揮管制システムの基礎となりました。アメリカからの技術支援と資金援助を受けながら、1950年代からの米空軍の半自動式防空管制組織（SAGE）を参考に、BADGEシステムが完成へと進んでいきます。

BADGEの運用

BADGEシステムの運用は、1969年3月26日から開始されました。当初は昼間8時間の運用からスタートしましたが、1975年には要撃計算機の二重化が実施され、24時間体制が整いました。このシステムは、航空総隊作戦指揮所（COC）を中心に、北部・中部・西部の防衛地域に分かれて設置された防空管制所（CC）や防空指令所（DC）と連携し、運用されました。

システムの中央制御機能を担う航空総隊作戦指揮所（COC）から、各地の防空指令所へ情報が迅速に伝送され、要撃機や地対空ミサイルへの指令が行われました。

情報漏えい事件

BADGEの導入過程には、情報漏えい事件もありました。1960年代前半に、競争した日本のメーカー間で機密情報が漏洩したとして、捜査が行われました。これにより、伊藤忠関係者が逮捕され、大きな波紋を呼びました。最終的には、当初の契約金額を超える費用がかかることとなり、制度が整う中で複雑な背景もあったことが伺えます。

システムの改良と進化

BADGEの運用が進む中、航空機の機能も向上し、独自の改良が必要とされるようになりました。その結果、1980年代初めに次期システムへの計画が始まり、日本電気を主契約社とする新しい自動警戒管制システム（JADGE）への移行が行われました。

2009年にはJADGEが正式に稼働し、航空自衛隊の防空指揮システムは、さらに進化した分散処理アーキテクチャを採用するなど、現代の防空ニーズに応える形へと進化しています。

終わりに

BADGEは、防空指揮管制システムの先駆けとして、航空自衛隊の運用の質を大きく向上させており、これが後のJADGEシステムの基盤となりました。このシステムの発展は、日本の空域を確保するための重要なステップであり、その技術や運用スタイルは、他の自衛隊系統や国際的な防空システムに大きな影響を与えています。

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