自動車公正取引協議会

一般社団法人自動車公正取引協議会

一般社団法人自動車公正取引協議会（じどうしゃこうせいとりひききょうぎかい）は、日本国内で自動車の取引に関わる事業者が自主的に組織する団体です。かつては内閣府の公正取引委員会がその活動を所管していました。

設立背景と役割

この協議会は、消費者庁と公正取引委員会から公式に認定を受けた「自動車公正競争規約」を適正に運用するために設立された公益法人としての側面を持つ団体です。主な目的は、消費者が自動車（新車、中古車、二輪車など）を購入または利用する際に、誤解を招くような表示や、景品類の提供に関する不当な行為によって不利益を被ることがないよう、市場における公正な競争環境を促進・維持することにあります。

これは、「不当景品類及び不当表示防止法」（一般に景品表示法として知られる）の趣旨に沿った活動であり、自動車業界における自主規制を通じて消費者の利益保護を図る重要な役割を担っています。具体的には、広告や販売促進活動における表示のルールを定め、その遵守を会員事業者に求め、違反行為に対しては調査や是正指導を行います。

沿革

自動車公正取引協議会は、1971年（昭和46年）12月21日に設立されました。設立以来、日本の自動車市場における公正な取引慣行の確立を目指して活動を続けています。時代の変遷と組織のあり方の見直しを経て、2013年（平成25年）3月21日には、一般社団法人として新たなスタートを切りました。

会員構成

当協議会は、日本の自動車関連産業を構成する多岐にわたる事業者を会員としています。会員は主に以下のカテゴリーに分けられます。

普通会員（団体会員）: 自動車に関連する主要な業界団体で構成されており、8団体が加盟しています。これらの団体を通じて、幅広い業種の事業者の意見が集約されます。
維持会員（個別会員）: 個々の事業者が直接加盟する会員で、その数は約19,400社に及びます。この中には、国内および輸入自動車メーカー（14社）や、各地の自動車ディーラー（販売店、約1,300社）など、自動車の製造・販売の中核を担う多数の事業者が含まれています。
* 賛助会員: 協議会の活動を支援する会員で、合計7団体が加盟しています。これには、中古車情報の提供を主な事業とする媒体事業者（7社）や、自動車関連の広告業務を担う事業者（例：株式会社ホンダコムテックなど1社）、さらに中古車の状態を専門的に評価・表示する事業を行う事業者（株式会社AIS、特定非営利活動法人日本自動車鑑定協会、株式会社カークレドなど3社）などが含まれており、自動車取引を取り巻く多様な関連事業者が参加しています。

活動内容と意義

協議会は、自動車公正競争規約の内容を会員に周知・啓発し、会員が規約を遵守しているかどうかの指導や、違反行為が確認された場合の調査および是正勧告を行います。これにより、消費者は自動車に関する情報（価格、性能、状態、燃費など）を信頼し、安心して比較検討・購入できるようになります。例えば、中古車の正確な走行距離表示や修復歴の明示、広告における景品類の表示規制などが規約の具体的な内容として運用されています。

一般社団法人自動車公正取引協議会の存在は、自動車市場における健全な競争を促進し、消費者と事業者間の情報の非対称性によって生じがちなトラブルを防ぐ上で極めて重要です。景品表示法の運用を補完する業界の自主規制機関として、その活動は消費者の権利保護と、日本の自動車産業全体の信頼性向上に大きく貢献しています。

タイヤ公正取引協議会など、他の特定の分野に特化した公正取引協議会と同様に、自動車という専門分野に特化した規約の運用を行うことで、より実効性の高い消費者保護を実現しています。

関連事項

協議会の活動は、景品表示法、全国公正取引協議会連合会、そして公正取引協議会や公正競争規約全般の枠組みと密接に関連しています。取り扱う対象は、新車、中古車、二輪車など、自動車に関する広範な取引に及びます。公式ウェブサイトやソーシャルメディア（X、Facebook、YouTubeなど）を通じた情報発信も活発に行っています。

もう一度検索