自照社出版

京都市中京区にかつて本社を構えていた日本の出版社が、自照社出版（じしょうしゃしゅっぱん）です。その歩みは1997年に始まりました。仏教学者として知られる豊原大成氏の著作と絵本を一冊ずつ刊行したことを契機として、仏教関連の書籍出版事業に着手しました。

設立当初から仏教書を中心とした出版を手がけ、次第に入門者向けの解説書から専門的な学術研究書に至るまで、幅広いジャンルの仏教関連書籍、さらには周辺分野の図書も世に送り出しました。多岐にわたるテーマを扱いつつ、仏教思想や歴史、実践に関する質の高い出版物を供給することで、仏教界や学術界に貢献しました。設立から2019年3月までの期間に刊行された書籍は、累計でおよそ240点に上ります。

書籍出版と並行して、2000年には雑誌『自照同人』を創刊しています。これは仏教研究者や宗教家などが執筆陣に名を連ね、当初は隔月（奇数月）で発行されていました。この『自照同人』誌は、大正から昭和期にかけて活躍した僧侶、足利浄圓らが発刊に関わった雑誌『自照』の精神を受け継ぎたいという願いを込めて名付けられ、発行されたとされています。仏教に関する論考やエッセイなどを掲載し、読者との間で活発な知的交流を促しました。この雑誌は、2019年3月に発行された第111号をもって終刊しています。

仏教書の専門出版社として活動を続けた自照社出版ですが、2020年3月31日をもって、その出版活動を終え、廃業となりました。約23年間の歴史に幕を下ろすこととなりました。

合同会社 自照社

自照社出版が廃業する直前の2020年2月、滋賀県大津市に新たに合同会社 自照社（じしょうしゃ）が設立されました。この合同会社は、前身である自照社出版の社名の一部と、それまで刊行されてきた出版物の一部を引き継いで事業を継続しています。特に真宗関連の書籍出版に力を入れており、前身から受け継いだ資産を活用しつつ、新たな拠点から出版活動を展開しています。

合同会社自照社の所在地は滋賀県大津市日吉台4丁目にあります。前身の自照社出版が京都を拠点としていたのに対し、合同会社自照社は滋賀県に本社を置いており、事業の引き継ぎとともに本社の所在地も変更されています。真宗関係の出版社として、今後も仏教、特に真宗に関する書籍を世に送り出すことが期待されています。

もう一度検索