自由ハンザ都市リューベック

自由ハンザ都市リューベック

自由ハンザ都市リューベック（ドイツ語：Freie und Hansestadt Lübeck）は、1226年から1937年まで存在した、神聖ローマ帝国、ライン同盟、ドイツ連邦、北ドイツ連邦、ドイツ国（ドイツ帝国及びヴァイマル共和政ならびにナチス・ドイツ）に属した自由都市です。現在のシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州およびメクレンブルク＝フォアポンメルン州の一部に位置していました。

歴史

帝国自由都市

1226年、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世はリューベックを帝国自由都市と宣言しました。これにより、リューベックは皇帝直属の都市として自治権を獲得し、独自の発展を遂げることになります。14世紀には「ハンザ同盟の女王」として、同盟の盟主となり、北海・バルト海交易を支配し、経済的な繁栄を築きました。リューベックはハンザ同盟の中心地として、多くの都市との交易を通じて文化的な交流も深めました。

独立とフランスによる併合

1803年の帝国代表者会議主要決議において、リューベックは帝国自由都市としての地位を改めて認められました。しかし、1806年の神聖ローマ帝国解体により主権国家となります。その後、ナポレオン戦争に巻き込まれ、1811年から1813年までフランス帝国に併合されるという苦難を経験しました。フランスによる支配は、リューベックの経済や社会に大きな影響を与えました。

再独立

ナポレオンの没落に伴い、リューベックは1813年に独立を回復しました。1815年のウィーン会議ではリューベックの独立が再確認され、ドイツ連邦に加盟、「自由ハンザ都市」として認められました。1867年には北ドイツ連邦に加盟し、1871年のドイツ帝国成立に伴い、同国の州となります。ヴァイマル共和国時代も州の地位を保ちましたが、ナチス政権下で行われた強制的同質化によって行政府と市議会は国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）の支配下に置かれ、1935年までに自治権が停止されました。ナチス政権による支配は、リューベックの自由と自治を奪い、市民生活に大きな影響を与えました。

消滅

1937年4月1日に公布された大ハンブルク法によってリューベックはプロイセン自由州に併合され、同州の一部であるシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン県に編入されて都市州としての地位を喪失しました。これにより、リューベックは長年の歴史に幕を閉じ、都市としての独立性を失うことになりました。

第二次世界大戦後の1947年にプロイセン自由州が解体されると、リューベックは単独の連邦州となったシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州に帰属することになりました。この帰属決定に対し、リューベックの都市州としての地位を回復する運動がなされましたが、この運動は1956年に連邦憲法裁判所が下したリューベック判決により頓挫しています。リューベック判決は、リューベックの都市州としての地位回復を否定し、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州への帰属を確定させました。

リューベックの歴史は、自由都市としての繁栄、他国による支配、そして最終的な消滅という、波乱に満ちたものでした。しかし、その歴史と文化は、現在もリューベックの街並みや人々の心に深く刻まれています。

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