興徳寺 (会津若松市)

興徳寺は、福島県会津若松市栄町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、山号を瑞雲山と称します。その歴史は古く、鎌倉時代の弘安10年（1287年）に、当時の会津地方を治めていた蘆名氏の第5代当主、蘆名盛宗が鎌倉から大円禅師を招き、開山したと伝えられています。

その後、興徳寺は戦国時代の動乱の中で、様々な歴史の舞台となります。蘆名氏が滅亡した後は、伊達政宗が会津を支配するための仮の拠点としてこの寺を利用しました。さらに、豊臣秀吉が奥州仕置を行った際には、この寺が御座所として使用されました。その重要性から、蒲生氏郷が会津の領主となった際には、200石という寺領が与えられました。城下町が整備され、多くの寺院が城の外に移される中でも、興徳寺はその由緒と格式から、唯一城内に残ることを許されたと言われています。

しかし、興徳寺は戊辰戦争（会津戦争）の戦火によって、大きな被害を受けました。慶応4年（1868年）の戦いで、堂宇はことごとく焼失し、創建当時の面影は失われてしまいました。現在の本堂は、1964年（昭和39年）に再建されたもので、コンクリート造りとなっています。この再建にあたっては、鶴ヶ城解体時に出た廃材が再利用されており、歴史の繋がりを感じさせます。

現在、興徳寺の境内には、蒲生氏郷の五輪塔（墓）が建立されています。この五輪塔は、氏郷が亡くなった後に、子の蒲生秀行によって建立されたもので、氏郷の遺髪が納められています。また、五輪塔のすぐそばには、氏郷の辞世の歌を刻んだ歌碑も建てられています。これらの史跡は、興徳寺がたどってきた歴史を今に伝える貴重な証となっています。興徳寺は、歴史の変遷を見守ってきた寺院として、今も多くの人々にその存在を知られています。

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