興津要

興津 要（おきつ かなめ）

興津要は、1924年4月21日から1999年10月20日まで生きた日本の著名な近世文学研究者であり、特に落語の研究において優れた業績を残しました。彼は早稲田大学の名誉教授として、多くの学生に影響を与えただけでなく、一般読者向けにも豊富な著作を発表してきました。

来歴

興津要は栃木県足利市に生まれ、栃木県立足利高等学校を卒業した後、1949年に早稲田大学文学部文科に入学し、国文学を専攻しました。在学中には立原正秋と同級生でした。その後、1951年まで大学院で学び、早稲田大学教育学部で助手としてキャリアをスタート。1956年からは専任講師に昇進し、1959年には助教授、1968年には国語国文学科の教授となりました。彼は1995年に定年退職し、その後は名誉教授として活動しました。

彼の功績の中でも特筆すべきは、1972年から1974年にかけて刊行された『古典落語』シリーズです。この作品は全6巻で構成され、200万部以上が売れたロングセラーとなり、後に一部が講談社学術文庫で再刊されました。彼はこの他にも多くの一般向け著作を執筆し、特に近世後期の滑稽本や明治時代の落語、そしてジャーナリズムについて深い見識を示しました。

人物・エピソード

興津要は、映画に対する熱烈な愛好家でもあり、特に活動写真が好みでした。活動弁士松田春翠が主催する「無声映画鑑賞会」にも参加し、1966年には稲垣浩の著書『ひげとちょんまげ』の祝賀会で、初対面の稲垣に「大ファンです」と告げつつ詩を生で歌い上げ、彼を驚かせました。このエピソードは、興津の人柄を物語っています。稲垣は「こんな酔っ払ったバカな先生もいるのかと再評価した」と彼との関わりを振り返っています。

また、興津は「三日月会」という落語の後援団体の幹事役を務め、奇妙な規約を定めるなどユニークな活動を行いました。この会は好評を博し、10年以上にわたって続きました。

教え子には漫画家の山本直樹がいて、その代表作『極めてかもしだ』のヒロインに「沖津要」という名前で影響を与えています。

主な著作

興津要は多数の著作を残しており、彼の研究は日本の文学界に多大な影響を与えました。代表的な著作には、1960年の『転換期の文学 江戸から明治へ』、1968年の『落語 笑いの年輪』、そして1997年の『明治新聞事始め』などがあります。また、彼は江戸川柳や日本の食文化、ジャーナリズムにまで広がる幅広いテーマを扱った著作も多く、その多彩な視点で文学を捉えていました。

総括

興津要の貢献は、近世文学だけでなく、落語やジャーナリズムの発展においても重要な位置を占めています。彼の著作は文学研究の礎となり、多くの後進たちに影響を与え続けています。その生涯を通じて、文学の楽しさや深さを広めることに尽力した彼の姿勢は、次世代の研究者や愛好者にも受け継がれていくことでしょう。

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