舟唄

舟唄（ふなうた）

「舟唄」は1979年5月25日に発売された八代亜紀のシングル及びアルバム（2枚組）であり、特に表題曲は彼女の代表作の一つです。発表当初、彼女はハリのある高い声で歌い上げました。この楽曲は、元々高音でテンポが速く、演奏時間は約3分57秒でしたが、2000年以降のリリースでは、彼女の声の変化を反映させるために音程が1つ下がり、演奏時間も約4分20秒に変更されることが多くなりました。

「舟唄」は八代にとって初の男性歌唱楽曲でもあり、テイチクが日本レコード大賞を目指して発表したものでした。阿久悠が作詞を手がけたこの楽曲を最初に聴いた八代は、その魅力を感じ取り、「必ずヒットする」と直感したと語っています。この曲は、阿久が「阿久悠の実践的作詞講座」で教科書として用意した作品で、作曲家浜圭介が曲を付けた後に八代に歌われることになりました。

歌詞の内容は神奈川県の俗謡「ダンチョネ節」からの影響を受けており、歌詞の改訂も行われました。ダンチョネ節自体も様々なバージョンが存在し、特攻隊節や、他のアーティストによる演目とも類似しつつ、独自の作品として仕上げられました。

1979年には、第21回日本レコード大賞と第10回日本歌謡大賞にノミネートされましたが、日本レコード大賞では金賞、日本歌謡大賞では放送音楽賞に留まりました。初年度における売上は思わしくなかったものの、『NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンスが好評を得て、その後の売れ行きが加速しました。「舟唄」は、1979年の第30回紅白歌合戦で八代が歌い、紅組のトリとして番組を締めくくる役割を果たしました。

また、1981年に公開された映画『駅 STATION』において、高倉健や倍賞千恵子が観覧している紅白で八代が歌う場面も登場しました。1991年には、三共株式会社の胃腸薬のCMで「舟唄」が使用され、特に「反省猿」が登場する映像と共に話題となり、全日本CMフェスティバルで優秀賞を受賞しました。

その後も、八代の「舟唄」はさまざまなメディアで取り上げられ、特に2006年以降はサントリーフーズのCMソングに起用され、多くの若者の支持を得る結果となりました。歌詞の中にある「お酒はぬるめの燗がいい」「肴はあぶったイカでいい」という部分について、八代自身は「イカは好きだが酒は飲めない」とコメントしています。

「舟唄」は、多くのアーティストにカバーされています。1980年から2021年には数多くの歌手達がこの曲を再録したり、アルバムに収録したりしてきました。また、広島県には「舟唄」の歌碑が設置されるなど、地域に根ざした存在として広がっています。このように「舟唄」は日本の音楽シーンにおいて深い影響を与え続けています。

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