舟橋金造

舟橋金造（ふなばし きんぞう）は、明治29年（1896年）1月16日に生まれ、昭和51年（1976年）3月27日に生涯を閉じた、日本の発明家であり、実業家です。特に、今日の我々が日常的に使用している「シヤチハタ」の創業者として、その名を知られています。

愛知県丹羽郡に生まれた舟橋金造は、愛知薬学校を中退後、その後の人生を大きく変えることになる「万年スタンプ台」の研究へと足を踏み入れます。大正9年（1920年）には、大阪市で万年スタンプ台を専門とする東洋文具製造株式会社が設立され、翌年の大正10年（1921年）には出資株主として参画し、名古屋出張所の主任に就任しました。しかし、この会社は経営難により解散という結末を迎えます。この経験は、舟橋金造にとって大きな挫折であると同時に、彼自身の研究への情熱を燃え上がらせるきっかけとなりました。

その後、舟橋金造は万年スタンプ台の研究にさらに没頭し、試行錯誤を重ねた結果、大正13年（1924年）に遂に完成させました。この発明を基に、翌年の1925年には、弟の高次と共に「舟橋商会」を創業。これが現在のシヤチハタ株式会社の前身となります。舟橋金造は、昭和16年（1941年）から昭和39年（1964年）まで、シヤチハタ工業株式会社の初代社長を務め、会社を大きく成長させました。彼の経営手腕と革新的な発想は、シヤチハタを業界のリーディングカンパニーへと押し上げる原動力となりました。

舟橋金造の発明した万年スタンプ台は、インキの補充を必要としないという画期的なものでした。この技術は、オフィスでの事務作業を大幅に効率化し、広く社会に受け入れられることとなりました。彼の功績は、特許第73149号「スタンプインキ、パッド」としても記録されています。

昭和51年（1976年）3月27日、舟橋金造は脳梗塞のため、常滑市民病院でその波乱に満ちた生涯を終えました。彼の死後も、シヤチハタは革新的な技術と製品開発を続け、多くの人々の生活を支え続けています。舟橋金造は、単なる発明家や実業家としてだけでなく、社会に貢献する企業を創り上げた人物として、後世に語り継がれるでしょう。

もう一度検索