舩山龍二

舩山龍二（ふなやま りゅうじ）氏は、1940年2月6日に山形県山形市に生まれました。

山形東高等学校を卒業後、1962年3月に東京教育大学（現在の筑波大学）理学部で学び終え、同年4月には現在の株式会社JTBである日本交通公社に入社し、旅行業界での長いキャリアを開始しました。

日本交通公社に入社後は、まず国際旅行事業に携わり、海外旅行パッケージツアー「ルック」の販売部門で課長を務めるなど、国際観光の分野で経験を積みました。その後、国内旅行部門の「エース」の課長としても活躍し、国内旅行の活性化にも貢献しました。社内でのキャリアを着実に積み重ね、経営企画室長として組織戦略の策定に携わったほか、取締役として九州営業本部長、常務取締役として人事部長など、要職を歴任しました。

1996年、同社の代表取締役社長に就任し、経営のトップとしてJTBを牽引しました。さらに、2002年からは代表取締役会長として、豊富な経験と見識をもって組織運営を支えました。JTBの経営を担う傍ら、教育分野にも貢献しました。立教大学観光学部で教授として教鞭を執り、将来の観光産業を担う人材の育成に尽力しました。

また、観光業界全体の発展のため、業界団体活動にも積極的に参加しました。日本旅行業協会（JATA）では副会長や海外旅行委員長などの重要な役割を果たし、特にスロバキア共和国への初チャーター便運航においては、複数の旅行会社や日本航空との連携を主導し、実現に大きく貢献するなど、新たな旅行先の開拓や市場創出にも力を注ぎました。

日本の「観光立国」という目標の実現に向けて、民間側の協力体制強化の必要性を強く認識していました。日本ツーリズム産業団体連合会（TIJ）の会長を務めていた際には、TIJと日本観光協会の合併を推進し、現在の公益社団法人日本観光振興協会の基盤を築く上で中心的な役割を果たしました。この統合は、日本の観光振興における民間主導の取り組みを強化する上で画期的な出来事でした。

さらに、若者の国際交流を支援する日本ワーキング・ホリデー協会の会長を務めたほか、国土交通省の交通政策審議会委員として国の交通政策に関する提言を行うなど、幅広い分野で社会に貢献しました。2008年5月には、自身の故郷である山形県の観光振興を目指す「山形観光アカデミー」の学長に就任し、地域活性化への貢献にも取り組みました。公益財団法人日本交通公社の評議員としても、観光関連の公益事業の推進に寄与しています。

長年にわたる旅行・観光産業および社会への多大な功績が認められ、2018年には瑞宝中綬章を授与されました。

舩山龍二氏は、JTBでの経営者としての手腕に加え、教育、業界団体のリーダーシップ、地域振興への貢献など、多角的な視点から日本の旅行・観光産業全体の発展に尽くした、この分野における極めて重要な人物と言えます。

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