航空障害灯

航空障害灯について

航空障害灯（こうくうしょうがいとう）とは、航空機が夜間に安全に飛行できるよう、超高層建築物や管制塔、煙突、鉄塔など、地上や水面から一定の高さを超える構築物に設置される赤または白の電灯です。これらの灯火は点滅することにより、航空機に対して周囲の障害物の存在を知らせます。航空灯火の中でも、航空障害灯は特に飛行安全を守るための重要な装置です。

法的な規制と設置義務

日本においては、航空法第51条により、高さ60メートル以上の建築物には航空障害灯を設置することが義務付けられています。また、骨組構造の建物や細長い煙突においては、昼間障害標識（赤白の塗装）の設置も求められている場合があります。加えて、超高層ビルが密集した地域では、高さが60メートルを超える建物であっても、必ずしも航空障害灯の設置が求められないケースも存在します。日本で初めて航空障害灯が設置されたのは東京タワーであり、以来、高層建築物には重要な特徴として定着しています。

航空障害灯の種類

航空障害灯は、航空法施行規則第127条によっていくつかのタイプに分類されており、低光度、中光度、高光度の灯火があります。ただし、高光度の赤色航空障害灯は存在しないため、赤色灯は低光度または中光度に限定されます。現在、多くの航空障害灯メーカーは、電球式の灯火と共に、LEDを使用した長寿命かつ省エネの照明器具もラインアップに加えています。

低光度赤色航空障害灯

このタイプの航空障害灯は高さ60メートル以上の構築物に設置され、明滅しない特性を持っています。例えば、建設用クレーンにはこの種類の航空障害灯が取り付けられることが一般的です。具体的には、60メートル以上150メートル未満の高層ビルには、屋上の四隅に100cdの低光度障害灯を設置することが求められています。また150メートルを超える超高層ビルにおいては、通常は屋上の四隅のうち2箇所に中光度赤色障害灯を設置し、残り2箇所には低光度赤色障害灯を取り付けることになっています。

中光度赤色航空障害灯

このタイプは、低光度赤色航空障害灯を縦に二つ重ねたような形状をしており、明るさは通常1600cdを持ち、明滅します。この中光度の灯火は、90メートル以上の煙突や鉄塔の最上部に設置が義務付けられています。特に210メートルを超える構造物では、最上部に加え105メートル下にも設置が必要です。

白色航空障害灯

白色航空障害灯は、カメラのフラッシュのように閃光を放つ仕組みになっており、中光度と高光度のモデルがあります。高さ60メートル以上の煙突や鉄塔には、昼間障害標識がない場合には中光度の白色航空障害灯を設置する必要があります。高い煙突に対しては、高光度の白色航空障害灯が求められますが、超高層ビルには白色灯が設置されることはありません。

設置される例

航空障害灯はさまざまな構築物に設置されます。例えば、工場の煙突や送電線の鉄塔、電波塔（東京タワーなど）、さらに吊り橋や大型の風力発電機などにも設置されます。また、特定の大きさを持つ銅像や石像に航空障害灯を設けるケースもあります。日本の事例では、牛久大仏（全高120メートル）や仙台大観音（全高100メートル）などが該当します。

さらに、60メートル未満の建物でも、特別な事情により航空障害灯が設置されることがあります。たとえば、愛知県小牧市の小牧城には設置例があります。以上のように、航空障害灯は航空機の安全な飛行を支える重要な役割を果たしているのです。

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