般若川

般若川・新般若用水について

般若川（はんにゃがわ）は、木曽川水系の一部を構成する農業用排水路であり、木津用水の一部としても機能しています。また、本稿では、般若川に接続するために開削された新般若用水（しんはんにゃようすい）についても併せて解説します。

地理

般若川は、愛知県丹羽郡扶桑町と江南市の境目付近を水源としています。そこから南西方向に流れ、一宮市時之島の東端付近で新般若用水と合流します。合流後は南に流れを変え、一宮市丹陽町重吉鬼ケ島付近で青木川に合流します。

歴史

木曽川の左岸では、かつて複数の派川が複雑に分流・合流を繰り返していました。その中で、般若地区で木曽川から分岐する二之枝川の上流部は「般若川」と呼ばれていました。現在、般若川として知られている河川は、この二之枝川の上流部を改修し、整備したものです。

1608年（慶長13年）の「御囲堤」の建造が、この用水整備の大きなきっかけとなりました。御囲堤によって木曽川左岸の派川は木曽川から切り離され、周辺地域では用水の確保が困難になることが予想されました。そのため、御囲堤の建造と同時期に堤防の数箇所に杁（取水口）が設けられ、用水網が整備されました。般若村に設置された杁は尾張地方最古の元杁とされていますが、最初の杁は1634年（寛永11年）の大洪水で流失したため、やや上流の岩手村に移設されました。移設後の杁は、長さ十五間、幅二間、高さ一間と記録されています。

般若用水と同様に二之枝川を改修した用水路として、大野杁から取水する大江用水もありました。しかし、当時の木曽川は頻繁に河道を変えていたため、次第に般若杁、大野杁ともに取水が困難となりました。その後、般若用水は木津の木津元杁から般若用水・大江用水に水を補給する形に変更されましたが、水不足は解消されませんでした。そのため、宮田村の杁に付け替えられていた大江用水から接続する新般若用水が1790年（寛政2年）に開削されました。これにより、安定した水供給が実現しました。

1988年（昭和63年）1月25日、扶桑町は、木曽川扶桑緑地公園内にある元杁跡を町文化財に指定しました。これは、この地域の歴史を語る上で貴重な史跡として保存されています。

般若川と新般若用水は、この地域における農業用水の供給を支え、歴史的な変遷を経て現在に至っています。これらの水路は、地域の農業発展に大きく貢献し、今もなお重要な役割を果たしています。

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