良文貝塚

良文貝塚 (よしぶみかいづか)

良文貝塚は、千葉県香取市貝塚に位置する、縄文時代後期を代表する大規模な貝塚です。この貝塚は、国の史跡としても指定されており、縄文時代の生活様式や環境を知る上で非常に重要な遺跡とされています。

概要

良文貝塚は、利根川下流域に位置し、標高約40メートルの下総台地に広がっています。東西約250メートル、南北約100メートルの範囲に、字海ノ内・羽ノ内・台畑・榎谷などの地域に点在する大小9箇所の貝塚群の総称です。1930年（昭和5年）2月に国の史跡に指定されました。「良文」という名称は、この地域が市町村合併される前の旧村名に由来します。

発掘調査

1929年（昭和4年）には、大山史前学研究所によって発掘調査が行われました。この調査によって、縄文時代後期前葉から中葉にかけての土器をはじめ、土偶や鹿角製の尖頭器など、様々な遺物が発見されました。貝層の厚さは約30 - 120センチメートルに達し、ハマグリが最も多く、次いでシオフキ、オキシジミ、アカニシが多く見られます。その他、カガミガイ、サルボウ、ツメタガイなども出土しています。

出土遺物

良文貝塚からは、多種多様な有機体遺物が出土しています。貝類では、ハマグリ、アサリ、オキシジミが中心であり、魚類ではアカエイ、サメ、スズキ、クロダイ、フグ類などが確認されています。また、サル、イノシシ、ニホンジカなどの哺乳類の骨も多く見つかっており、イヌ、イルカ、クジラなどの骨も出土しています。特に、厚さ3メートルを超える貝層は、当時の豊かな自然環境と人々の食生活を物語っています。香炉型顔面付土器は国内でも類例が少ない貴重なものです。

土器は、縄文時代中期前葉のものもわずかに見られますが、後期堀之内式、加曽利B式土器が主体です。特に堀之内II式土器が多く出土しています。その他、掻器、砥石、骨製ヤス、貝輪なども出土しており、当時の人々の生活用具や装飾品を知ることができます。

縄文海進

貝塚が標高40メートルの台地に群集していることから、当時の気候は現在よりも温暖で海水面が高かったと考えられています。この現象は「縄文海進」と呼ばれ、当時の海岸線が現在よりも内陸にまで広がっていたことを示唆しています。

周辺遺跡

良文貝塚の周辺には、阿玉台貝塚などの遺跡も存在し、この地域が縄文時代において重要な拠点であったことを示しています。

まとめ

良文貝塚は、縄文時代後期の生活や環境を理解するための重要な遺跡です。出土した土器や貝殻、動物の骨などから、当時の人々の食生活や文化、自然環境を知ることができます。国の史跡として、今後も保存と研究が進められることが期待されます。

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