芋俵

芋俵

「芋俵（いもだわら）」は著名な落語の演目として知られており、特に四代目や五代目柳家小さんの得意とするものです。この物語は、盗賊たちのユニークな計画を中心に展開します。

あらすじ

二人の泥棒が、裕福な店を狙う計画を練っているところから物語が始まります。彼らは「芋俵」を利用することを考えますが、実際には芋ではなく人間を俵の中に詰め込むことにするのです。彼らは、俵を使って店に忍び込み、何か忘れ物をしたかのように持ち帰るという計画を立てます。

「芋俵を預かってほしい」と言って、その後、夜になってから行動を起こすという段取りです。しかし、問題は、彼らの仲間である与太郎がその俵の中に入ることです。盗賊たちは与太郎を俵に入れることに決めますが、彼のせいで計画が思わぬ方へ進んでしまいます。

計画が順調に進むと思いきや、店の小僧が俵を逆さまに置くという小さなミスが生じます。与太郎はその中で困惑し、動けなくなってしまいます。そして、夜が更け、店が閉まる頃、晩飯を食べそこねた小僧と下女が俵をいじりはじめます。彼らは「何か食べられそうなものがある」と、好奇心から俵の中を探り始めます。その時、与太郎はこっそりと声を上げますが、状況がますます厄介になるばかりです。

結局、与太郎は俵の中での居心地の悪さから放屁してしまい、その瞬間に「気の早いお芋だ」と叫んでしまいます。この一言が、物語のクライマックスを迎えます。

解説

この「芋俵」は、短いながらもシンプルでコミカルな要素が多いため、寄席などで頻繁に演じられています。特に四代目小さんがこの演目を演じたときは、その静かな語り口が特徴的で、初めは客の反応がイマイチだったそうです。しかし一旦笑いが起こり始めると、観客たちは次第に笑い出し、その後の演者にとっては難しい状況になったと言います。弟子の五代目小さんは、こうした後から笑いが広がることこそが、本当の落語の面白さであると感心したと伝えられています。

この物語を通じて、落語特有のユーモアと人間の愚かさが見事に描かれています。観客は、単なる愉快なストーリーを楽しむだけでなく、登場人物のちょっとした愚行を見つめ直すこともできる、魅力的な演目です。

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