花房正義

花房 正義（はなぶさ まさよし）

1934年10月10日、岡山県に生まれた日本の実業家です。

経歴の始まりと山城章との師弟関係

若き日は画家を志し上京するも、自らの才能の限界を感じて進路を変更しました。1957年、東京経済大学経済学部を卒業。大学では、経営学の権威である山城章教授のゼミに師事し、卒業後も1993年に山城教授が逝去されるまで長きにわたり指導を受けました。この師弟関係は非常に深く、1972年の山城経営研究所設立支援にも貢献しています。

日立グループでのキャリア

大学卒業後、実業界に進んだ花房氏は、主に日立グループにおいてそのキャリアを築き上げました。1977年には日立クレジットの取締役経理部長に就任し、会社の財務・経理面を統括する責任者として手腕を発揮。経営の中枢に関わる重要な役割を担いました。着実に社内での信頼と実績を積み重ね、1991年には日立クレジットの代表取締役社長に昇進します。その後、会社が日立キャピタルへと社名を変更した後も引き続き経営の舵を取り続け、2000年に日立キャピタルの代表取締役社長、そして翌2001年には代表取締役会長に就任。長年にわたり、日立グループにおける金融・リース事業の中核会社をトップとして率い、その発展に大きく貢献しました。

多様な役職と社会貢献

日立キャピタルでの経営活動と並行して、花房氏は日立グループの主要企業やグループ外の要職も歴任しました。2003年には親会社である日立製作所の取締役に就任し、グループ全体の経営戦略にも深く関与しました。同年には日立化成工業（現在のレゾナック）の取締役も兼任するなど、グループ内での影響力を広げます。グループ外では、2004年に東京ガスの監査役に就任するなど、その豊富な経営経験と幅広い識見は、日立グループを超えて広く経済界に求められました。また、山城経営研究所の取締役会長として師の事業を支える一方、三菱UFJ信託地域文化財団や山口きらめき財団の評議員を務めるなど、地域社会の活性化や文化活動の支援といった社会貢献活動にも積極的に取り組みました。経済界においては、2006年には企業研究会の会長に就任し、日本の産業界の発展に寄与しました。これらの長年の功績と卓越した経営手腕が高く評価され、2005年度には名誉ある財界賞経営者賞を受賞しています。

経営者としての評価

花房氏が実業家として高く評価される点の一つに、その卓越したリーダーシップと周囲からの厚い人望があります。特に、日立製作所の取締役として在任中、取締役会の下に設置された指名委員会および報酬委員会の委員長を務めた際には、巨大で多様な事業を抱える日立グループ全体の重要人事や役員報酬に関する複雑な調整役を見事に果たしました。多くの部門や関係者の様々な意見や利害を巧みにまとめ上げ、組織全体にとって最善となる結論を導き出すその手腕は、今日の多くの企業経営者にとって模範とすべきものとされています。

晩年の活動

日立キャピタルを退任した後も、花房氏は同社との関係を維持し、2007年には特別顧問、2009年には名誉顧問として会社に貢献し続けました。さらに、日立キャピタルが三菱UFJリースと経営統合して誕生した三菱HCキャピタルにおいても、2021年には名誉顧問を務めるなど、その経験と知識を活かして業界の発展を見守りました。花房正義氏は、その長い実業家としての歩みを通じて、日本の経済界に確かな足跡を残した人物と言えるでしょう。

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