芳山あかり

芳山あかりは、2010年公開の映画『時をかける少女』で主人公として登場する女子大学生です。母親は、原作小説や過去の映像作品で主人公を務めた芳山和子という設定で、その血を受け継ぎ、彼女自身も時空を超える冒険に身を投じることになります。

映画『時をかける少女』では、大学進学を目前に控えたあかりが、交通事故で入院した母親・和子からある重要なメッセージを受け取ります。それは1972年4月6日という日付でしたが、あかりは誤って1974年2月6日にタイムリープしてしまいます。

この時代で、あかりはSF好きの青年・溝呂木涼太と出会います。彼の助けを借りながら、母親が再会を願っていた深町一夫という人物を探す旅が始まります。このタイムリープという非日常的な出来事を軸に、あかりは過去の人物と出会い、様々な出来事を経験することで成長していきます。物語は、あかりの葛藤や、母娘の絆、そして時代を超えた人間の繋がりを丁寧に描き出しています。

一方、ネットムービー『光の惑星』では、あかりは昭徳大学の学生として登場します。父親から渡された『光の惑星』という台本の読み上げシーンが重要な役割を担っています。最初は台本の裏表紙に書かれた「溝呂木涼太」の名に反応を示しませんでしたが、「付け加えられたラストシーン」を読み終えた後、何かを思い出したかのような表情を見せます。

これらの作品を繋ぐ興味深い伏線があります。映画『時をかける少女』では、登場人物ミクの名前候補として「マコト」が挙げられていますが、却下されています。この「マコト」とは、2006年公開のアニメ映画『時をかける少女』で紺野真琴を演じた仲里依紗さんへのオマージュであり、芳山和子の姪にあたります。『光の惑星』の「付け加えられたラストシーン」は、あかりが演じる役柄が、この「マコト」を意識したものであることを示唆しています。

これらの作品群を深く理解することで、3作品に隠されたスタッフによる遊び心、そして物語の奥深さがより鮮やかに浮かび上がってきます。芳山あかりの物語は、単なるタイムトラベルものにとどまらず、親子や友人、そして時代を超えた繋がりを描いた、複雑で奥行きのある人間ドラマとなっています。あかりの体験を通して、私たちは時間、家族、そして人生の意味について改めて考えさせられます。

映画とネットムービーという異なる媒体で描かれる芳山あかりの物語は、それぞれの作品に魅力がありつつも、互いに深く結びついています。時間旅行というファンタジックな要素を基盤に、登場人物たちの複雑な感情や人間関係、そして時代を超越した絆が、繊細に描かれています。これらの作品を通して、私たちはあかりの成長、そして人生の様々な側面を多角的に捉えることができます。

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