芳春院 (京都市)

芳春院

芳春院は、京都市北区紫野に位置する臨済宗大徳寺派の寺院であり、大徳寺の塔頭の一つです。大徳寺の塔頭の中では最も北に位置し、通常は一般公開されていません。この寺院は、加賀藩前田家の祖である前田利家の夫人、松子（芳春院）によって建立され、前田家の菩提寺としての役割を担ってきました。

歴史

芳春院は、慶長13年（1608年）に玉室宗珀を開祖として創建されました。寺名は、建立者である松子の法号「芳春院」に由来し、前田家の菩提寺として重要な位置を占めています。創建当初の建物は寛政8年（1796年）の火災で焼失しましたが、2年後には前田家11代の前田治脩によって再興されました。明治時代に入ると、廃仏毀釈の影響で一時荒廃しましたが、明治8年（1875年）に復興を遂げました。前田家の霊牌のほか、近衛家、醍醐家、青山家など、名だたる家々の霊牌も祀られています。

建造物

昭堂（呑湖閣）

本堂の背後にそびえ立つ2層の楼閣建築で、元和3年（1617年）に横井等怡が小堀政一（遠州）に相談して創建されました。現在の建物は文化12年（1815年）に再建されたもので、金閣、銀閣、飛雲閣と並び、「京の四閣」として知られています。その歴史的価値から、京都府指定有形文化財に指定されています。

霊屋

松子、前田利長、前田利常の3人を祀る霊屋があります。こちらも京都府指定有形文化財です。

本堂（方丈）

本堂には、茶室である落葉亭、松月軒、如是庵があります。これらの茶室は、静寂の中で茶の湯を楽しむための空間を提供しています。

庭園

方丈前庭は「花岸庭」と呼ばれ、山から流れ出る水が大海へと帰る様子を表現した庭園です。自然の壮大さと水の流れが織りなす美しい景観は、訪れる人々に安らぎを与えます。

文化財

芳春院は、数多くの文化財を所蔵しています。

重要文化財

絹本著色多賀高忠像（享徳元年九月日養叟賛）
大燈国師墨跡（二行書）

京都府指定有形文化財

霊屋（芳春院）
霊屋（瑞龍院）
昭堂（呑湖閣）
打月橋
表門
墓参門

京都市指定名勝

芳春院の庭 - 2020年（令和2年）3月31日指定。

その他

前田利家夫人像（春屋宗園賛）

アクセス

JR京都駅から京都市バスで大徳寺前まで約30分、そこから徒歩約10分で到着します。

芳春院は、その歴史、建築、文化財、庭園を通じて、日本の歴史と文化の深さを感じることができる場所です。通常は非公開ですが、その静寂と美しさは、訪れる人々に深い印象を与えます。

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