芸術新潮

芸術新潮

『芸術新潮』は、新潮社が発行する月刊の芸術雑誌です。1950年1月号に創刊され、初めは「藝術新潮」と表記されていましたが、1981年1月号から「芸術新潮」と改名され今日に至ります。この雑誌は、長年にわたり国内外の美術に関する情報や評論を提供し続けており、アートに関心のある読者にとって貴重なリソースとなっています。

創刊当初の日本は、海外渡航が厳しく制約されていました。そのため、海外の美術動向や美術評論に焦点を当てた内容が多く見られました。さらに、印刷技術の発展によって、豊富な図版が誌面を飾るようになり、魅力的かつ視覚的に楽しめる雑誌へと進化しました。1960年代前半には、現在の判型にあたるA4サイズに変更され、より多くの情報を効率的に伝えることが可能となりました。

1970年代からは、より啓蒙的な美術評論が行われ、展覧会や特定の作家に焦点を当てた特集が増加しました。この流れは1980年代から1990年代にかけて顕著になり、編集部や読者の女性層の増加も影響しています。特に女性の美術家や作家の特集が増え、多様な視点からの美術が語られる場となりました。

近年では、『フィレンチェ』や『ローマ』、さらには『パリ』や『プラド美術館』などの特集によって、世界各地の美術や文化の魅力を深く掘り下げています。これらの特集記事は多くが改訂され、同社の写真図版シリーズ「とんぼの本」としても展開されています。2014年5月号においては、ロゴやレイアウトが25年ぶりに刷新され、新たな展開を見せました。

この雑誌には多くの著名なアーティストや評論家の寄稿があり、橋本治氏の「ひらがな日本美術史」の連載や、大友克洋氏の特集、さらにはつげ義春氏の60周年記念特集など、様々な特集が行われました。また、これまでに手塚治虫や水木しげる、安彦良和といったマンガ家に関する特集も組まれており、美術の領域だけでなく、広くアートに関する情報を発信する役割を果たしています。

このように、『芸術新潮』は日本の美術界における重要な媒体として、多様な内容を発信し続けており、多くの読者に親しまれています。興味を持った方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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