苗羽村

苗羽村（のうまそん）

香川県小豆郡に存在した苗羽村は、その短い歴史の中で、様々な出来事を経験しました。

歴史

1890年2月15日、町村制の施行に伴い、小豆郡内の苗羽村、古江村、堀越村、田浦村が合併し、新たな苗羽村としてスタートしました。この合併により、地域は一つのまとまりとなり、新たな歴史を刻み始めました。

1942年12月31日には、悲惨な海難事故が発生しました。柚の浜沖合で内海汽船所属の「錦丸」が転覆し、多くの犠牲者を出しました。乗船していた人々の中で、4人は奇跡的に柚の浜に泳ぎ着き生還しましたが、72名もの人々が命を落とすか、行方不明になるという痛ましい出来事でした。

戦後の1950年3月15日には、昭和天皇が戦後巡幸の一環として村内を訪問されました。天皇は、村の主要な産業の一つであった醤油の製造所、丸金醤油工場を視察されました。この訪問は、戦後の復興期における村にとって、大きな励みとなりました。

しかし、1951年4月1日、苗羽村は小豆郡内の草壁町、安田村、坂手村、西村と合併し、内海町として再編され、その歴史に幕を閉じました。苗羽村としての存在は消滅しましたが、その名は地域の歴史の一部として今も語り継がれています。

経済

苗羽村の経済は、農業と醤油醸造業が中心でした。

産業

農業は、村の基幹産業であり、多くの農家が日々の生活を支えていました。『大日本篤農家名鑑』には、苗羽村の篤農家として、岩部亀士や曾根庄太郎の名前が記録されています。これらの人々は、地域農業の発展に貢献しました。

企業

苗羽村には、多くの醤油醸造所が存在しました。以下は、その代表的な企業です。

香川肥料: 1923年設立。代表者は高橋永蔵でした。
内海醤油: 1902年創業。代表者は塩田亀吉でした。
船山醤油: 1888年創業。代表者は照下兼吉でした。
小豆島醤油: 1900年創業。代表者は大西繁蔵でした。
丸金醤油: 1907年創業。代表者は木下忠次郎でした。

工場など

村内には、歴史のある醤油醸造所が多数ありました。

イリヤマエ醤油醸造場: 1868年創業。代表者は木下ヨセでした。
岡本醤油製造所: 1879年創業。代表者は岡本瀧三郎でした。
三階菱醤油醸造所: 1889年創業。代表者は黒島岩吉でした。
宮坂醤油醸造場: 1872年創業。代表者は木下仙治郎でした。
塩忠醸造工場: 1819年創業。代表者は木下忠次郎でした。

これらの醤油醸造所は、地域経済の重要な担い手であり、多くの人々の生活を支えていました。

出身・ゆかりのある人物

苗羽村出身、またはゆかりのある人物には以下のような人々がいます。

木下忠次郎: 香川県の多額納税者であり、丸金醤油の社長を務めました。
塩田亀吉: 丸金醤油の取締役であり、内海醤油の社長も務めました。
* 村崎サイ: 徳島文理大学の創立者として知られています。

まとめ

苗羽村は、短い期間ながらも、その歴史の中で様々な出来事を経験しました。村の経済は農業と醤油醸造業に支えられ、多くの人々がその地で生活を営んでいました。1951年に内海町として再編された後も、その名は地域の記憶に残り続けています。この小さな村の歴史は、日本の地方史において重要な一章として語り継がれるでしょう。

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