若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像

若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像

「若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像」は、1984年1月2日に放送された12時間を超えるテレビドラマで、テレビ東京開局20周年を記念する特別番組として制作されました。このドラマは全6部構成で、中村雅俊が主演を務めました。また、この作品はテレビ東京が制作した12時間超のワイドドラマとしては第4作目にあたります。

制作の背景

当時、テレビ東京の社長であった中川順氏は、福沢諭吉の生涯をドラマ化することを長年の夢とし、企画を温めていましたが、福沢を主人公とすることについて制作陣は懸念を抱いていました。彼の周囲には女性キャラクターが少なく、スペクタクルな展開が期待できないことで視聴率の低下を心配していたのです。それでも中川氏の熱意が実を結び、ついに福沢の人生を描くドラマの制作が決定しました。

放送と評価

初回放送の際には、慶応関係者から高い評価を受け、特に当時の塾長であった石川忠雄氏からは感謝状が送られる等、反響が大きかったことが記録されています。ドラマは明治時代の背景を持つ作品として、前年のドラマに続く近代を舞台とした内容が展開されました。

各部の内容

このドラマは6つの部から構成されています。第一部では「門閥制度は親の敵でござる」とのテーマで、福沢の若き日々が描かれます。第二部は「黒船騒動の幕末に熱き蘭学修業」として、日本が大きく変革を迎える時代の中で、福沢がどのように進学を果たしていったのかに焦点が当てられました。第三部では、福沢がアメリカへ渡る様子が描かれ、「嵐の太平洋咸臨丸でアメリカへ」において、彼の挑戦と成長が語られます。

続く第四部「新妻お錦と慶應義塾の誕生」では、福沢の私生活と学問の講義が交錯し、慶應義塾が設立される過程が描かれます。第五部「暗殺者の剣よりもペンは強し」では、当時の日本において政治的な混乱とともに福沢の思想がどのように形成されたのかが主題となります。最後の第六部「天は人の上に人を造らず…」では、彼の思想の根幹となる平等の理念が語られます。

制作スタッフ

本作品は長坂秀佳が脚本を担当し、山田和也と藤田明二が監督を分担しました。音楽はミッキー吉野とゴダイゴが手がけ、視覚的だけでなく聴覚的にも作品を盛り上げました。特にこのシリーズでは、脚本が全編にわたって単独執筆された初の作品としても知られています。

キャスト

主要キャストには、福沢諭吉を演じる中村雅俊のほか、彼の妻役に中井貴恵、勝海舟役に林隆三など、豪華な顔ぶれが揃いました。多彩な俳優陣によって、福沢諭吉の多面的な活動とその時代の人々との関係が生き生きと描かれました。

再放送と関連項目

このドラマは、1985年から1986年にかけて『金曜特選劇場』として6分割され再放送されましたが、ソフト版としての販売は行われていません。また、1984年の11月には、福沢諭吉がデザインされた一万円紙幣も発行されています。

このように「若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像」は、ただのドラマを超え、歴史的な貴重な資料としても評価されている作品です。

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