若州一滴文庫

若州一滴文庫：水上勉の文学と竹人形文楽の里

福井県おおい町に位置する若州一滴文庫は、小説家・水上勉氏が私財を投じて設立した、文学と芸術を愛でるための総合的な文化施設です。1985年3月の開館以来、水上氏の故郷であるこの地に、文学と芸術の灯を灯し続けています。

水上勉氏の深い愛情が込められたこの文庫は、単なる展示施設にとどまりません。本館、竹人形館、くるま椅子劇場といった複数の建物から構成され、それぞれの建物が、水上氏の作品世界や人生観を反映した独特の空間を醸し出しています。

本館：文学と芸術の融合

1984年に竣工した木造3階建ての本館は、約500平方メートルの広さを誇ります。バリアフリー設計にも配慮され、1階から3階までスロープが設置されています。

1階： 水上勉氏の蔵書約2万冊を収蔵する図書室、児童向けの図書コーナー「ブンナの部屋」、企画展を開催する展示室、そして来館者が休憩できるラウンジがあります。展示室では、秋野不矩、斉藤真一、須田剋太、渡辺淳など、水上氏と親交の深かった画家の作品が展示されています。
2階・中2階・3階： 展示室と資料室があり、水上氏の作品や資料、関連資料などが保管・展示されています。

竹人形館：水上勉と若州人形座

1987年に竣工した木造2階建ての竹人形館は、水上氏が主宰した若州人形座の貴重なコレクションを収蔵しています。約60体の竹人形の胴体と約250体の頭部が展示され、その精緻な技術と独特の世界観を堪能できます。エレベーターも設置されているため、どなたでも安心してご覧いただけます。

くるま椅子劇場：竹人形文楽の舞台

1988年に竣工した木造2階建てのくるま椅子劇場は、若州人形座による竹人形文楽の定期公演が行われる場所です。舞台背景にはピクチャーウィンドウがあり、美しい竹林の景色を望むことができます。ホールとギャラリーも備え、公演以外のイベントにも利用されています。玄関から劇場までのホワイエはギャラリーとして活用され、様々な作品が展示されています。

その他の施設

六角堂（喫茶、軽食、売店）、広々とした庭園、正門、劇場門、旧茅茸ホールなど、敷地内には様々な施設があり、来館者は心ゆくまで水上勉の世界観に浸ることができます。

ワークショップとイベント

若州一滴文庫では、竹紙漉き、竹筆作り、勾玉作り、火おこしなど、様々なワークショップも開催されています。また、毎年10月第4土曜日に水上勉氏の追悼式典「帰雁忌」が開催され、多くの人々が水上氏を偲んでいます。

利用情報

開館時間：午前9時～午後5時
休館日：毎週火曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始（12月29日～1月3日）

建築概要

建築主：水上勉
設計：泊建築設計事務所
竣工：1984年（本館）
敷地面積：7,000平方メートル
* 受賞歴：1990年 中部建築賞受賞

若州一滴文庫は、水上勉氏の文学と芸術への情熱、そして故郷への深い愛情が凝縮された、貴重な文化遺産です。訪れる人々に、静寂と感動、そして創造性を刺激する、忘れられない体験を提供してくれる場所と言えるでしょう。

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