若年移民に対する国外強制退去の延期措置

DACA（若年移民に対する国外強制退去の延期措置）とは

DACA（Deferred Action for Childhood Arrivals：若年移民に対する国外強制退去の延期措置）は、2012年に当時のアメリカ合衆国大統領バラク・オバマによって導入された移民政策です。主に、幼少期にアメリカ合衆国へ不法に入国した若者、通称「ドリーマー」と呼ばれる人々を対象としています。

この政策の主な内容は、対象となる若者たちの強制的な国外退去を2年間延期し、その期間中の就労を許可するというものです。ただし、この措置は自動的に法的地位を与えるものではなく、市民権取得への道を開くものでもありません。また、連邦政府からの福祉や教育支援を受ける権利を付与するものでもありません。

DACAの適用条件

DACAの適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

16歳の誕生日を迎える前にアメリカ合衆国に入国していること
2007年6月15日以降、継続してアメリカ合衆国に居住していること
2012年6月15日の時点で31歳以下であること（1981年6月16日以降の生まれ）
2012年6月15日時点で、かつUSCIS（米国市民権・移民業務局）による延期措置を申請する時点で、アメリカ合衆国に物理的に滞在していること
2012年6月15日時点で、合法的な滞在資格を持っていないこと
高校卒業資格（GEDを含む）を有している、軍隊から名誉除隊している、または学校に在学中であること
重罪、重大な軽犯罪、または3件以上の軽犯罪による有罪判決を受けていないこと
国家安全保障上の脅威とならないこと

これらの条件をすべて満たす必要があります。

DACAを巡る状況

2017年1月にドナルド・トランプが大統領に就任すると、DACAの見直しが行われました。同年9月には、トランプ政権はDACAの撤廃を発表し、大きな議論を呼びました。

これに対し、DACA受益者や支援団体が訴訟を起こし、裁判で争われることになりました。そして、2020年6月18日、連邦最高裁判所はトランプ政権によるDACA撤廃を「恣意的で根拠を欠く」と判断し、撤廃案を棄却しました。

しかし、この判決後もDACAを巡る状況は不安定です。2020年7月には、国土安全保障長官代行がDACAの新規申請を認めず、更新期間を2年から1年に短縮するという新たな規則を発表しました。さらに、同年11月には、ニューヨーク連邦地裁が、長官代行の任命自体に違法性があるとして、これらの規則を無効とする判断を下しました。

このように、DACAは成立から現在に至るまで、政治的な対立や法的な争いが絶えない状況にあります。DACAの将来は依然として不透明であり、多くのドリーマーたちが不安を抱えながら生活しています。

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