若殿研修

若殿研修について

若殿研修（わかどのけんしゅう）は、日本の中央省庁におけるキャリア官僚が若手時代に特定の人事慣行として経験する制度です。これは、20代前半で国家公務員1種試験に合格した官僚の中から、一部の官庁が特にこれを実施しており、20代後半または一部では30代前半で地方の出先機関のトップに就任するケースが見られました。このため、年齢差が大きい部下を持つ地方出先機関のトップが多く存在することがありました。

背景と実施された主な官庁

特に有名なのは大蔵省（現：財務省）ですが、警察庁や郵政省（現：総務省）、農林水産省でも見られました。1990年代後半には官僚に関わる不祥事が相次いで頭を悩ませ、1998年に自粛が始まり、1999年度には地方出先機関でのトップ就任年齢を原則35歳以上にすることが決定され、若殿研修は廃止されました。

大蔵省における若殿研修

大蔵省では、キャリア官僚が入省から約6年から7年の後、20代後半または30代前半で全国の税務署長に任命されるという慣行がありました。この慣行は1960年代には既に定着しており、役職者としての経験を積むことで、「国民の意見を学ぶ」、また「組織運営を学ぶ」ことを目的としていたとされています。

また、若手官僚は税務署長としてしかるべき訓示を受けることが通例であり、そこから実務における責任感や知識を培うことも期待されていました。しかし、税務の実務に滅多に関わらないことが多く、むしろ外部に顔を出す役割を果たすことが主であったため、内部の人間からはその偏差も見受けられることがありました。

他の省庁での状況

警察庁では、入庁時にキャリア官僚が警部補に任命され、3年半で昇進していく制度があり、20代で警察署長になる人も存在しましたが、警察庁では若い時期にこの役職を担う者は少数でした。特定の警察署はキャリア官僚のポストとして指定されていましたが、1990年代にはその慣行は撤廃されました。

郵政省では花形として若手官僚が郵便局長に任命されるケースが多くありました。不祥事を契機に他の省庁においても、若手官僚の時期に特定の責任ある地位に就くことに対する見直しが行われ、様々な人事慣行が見直されることとなりました。

結論

若殿研修という人事慣行は、日本のキャリア官僚が早期に重要ポジションを経験する機会を与えましたが、同時に問題点も浮き彫りになっていました。この制度はその後批判に晒され、総じて年齢に見合った経験を積ませる方向に政策がシフトしていったことは、今後の官僚制度を考える上でも常に留意すべき課題となりました。

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