英一蜂

英一蜂（はなぶさ いっぽう）について

英一蜂は江戸時代中期を代表する英派の絵師であり、元禄4年（1691年）に生まれ、宝暦10年（1760年）に没しました。彼は英一蝶の門弟として画業を開始し、時には「一峰」、「一蜂」、「一烽」、「一嶂」、「春窓翁」などの号を用いました。江戸北鞘町に住んでいたとされ、彼の影響が色濃く残る地域で活動を行っていました。

絵画活動の始まりと作品

江戸時代中期の享保の頃から、英一蜂は絵を描き始めました。師である英一蝶の画風を受け継ぎ、彼の絵を模写した画譜を数多く刊行しています。その中でも特に著名な作品には、享保15年（1730年）に発刊された『父の恩』や、宝暦2年（1752年）に刊行された『画本図編』、さらには宝暦8年（1758年）に発行された『両兎林』が挙げられます。

『父の恩』は特に注目に値する作品で、初代市川団十郎の27回忌追善として編集されたものであり、2代目団十郎が手がけた一部彩色摺の絵本です。この絵本は、当時の歌舞伎文化との関連性も強く、英一蜂の絵が多くの人々に愛された理由の一つともいえるでしょう。

墓所と弟子たち

英一蜂の墓所は深川の法禅寺中南龍院に所在すると言われていますが、一説によれば築地本願寺中真光寺にも彼の墓があるとされていることから、その実際の場所に関しては諸説があります。

彼の弟子には、二代目一蜂を名乗った英一蜓がいます。英一蜓は特に「四季加嶋風俗図屏風」などの作品を残しており、富士山かぐや姫ミュージアムでその名作を鑑賞することができます。これにより、英一蜂の教えを受けた弟子たちがさらにその伝統を引き継ぎ、江戸時代の文化に多大な貢献を果たしたことがわかります。

英一蜂の影響と文化的背景

英一蜂の作品は、江戸時代の浮世絵における重要な位置を占めており、その絵柄は当時の人々の生活や風俗を豊かに描写しています。彼の絵は、風景画や人物画だけでなく、その描写の繊細さや詩的な表現でも知られ、絵師としての地位を確立していきました。この時代、浮世絵は広く普及し、多くの人々の日常生活に浸透していく中で、英一蜂の作品もまた重要な役割を果たしました。

多様な影響を受けながらも独自のスタイルを確立した英一蜂は、江戸時代の画家たちの中でも特に記憶される存在となり、後の世代へとその技術と感性を受け継がせることに成功しました。

もう一度検索