茜色の夕日

フジファブリック「茜色の夕日」：時代を超えて愛される名曲

フジファブリックの6枚目のシングル「茜色の夕日」は、彼らの代表曲の一つとして広く知られています。この楽曲は、テレビ神奈川の音楽番組『saku saku』の2005年9月度エンディングテーマとして、カップリング曲の「蜃気楼」は映画『スクラップ・ヘブン』のエンディングテーマとしてそれぞれ起用されました。

楽曲の背景

「茜色の夕日」は、フジファブリックが結成当初から存在していた楽曲であり、デモテープを含めると4回も音源化されています。初期のバージョンから歌い方や曲調が大幅に変更されており、バンドの音楽性の変化を垣間見ることができます。また、インディーズ時代とメジャーデビュー後の両方でミュージックビデオが制作されている唯一の楽曲でもあります。

この曲には、ボーカルの志村正彦にまつわるエピソードがあります。アマチュア時代、音楽を諦めて地元に帰ろうかと悩んでいた志村が、当時アルバイト先の先輩であった氣志團の綾小路翔にそのことを打ち明けた際、綾小路から「この曲をくれないか」と真剣に頼まれたそうです。この出来事がきっかけで、志村は実家に帰ることを考え直し、音楽活動を続ける決意をしました。

志村正彦の死と、その後の「茜色の夕日」

志村正彦が急逝した直後の2009年12月28日、『COUNTDOWN JAPAN』に出演した奥田民生が、志村を追悼する意味を込めて「茜色の夕日」をカバーしました。奥田は涙で声を詰まらせながら熱唱し、観客の感動を呼びました。さらに翌日には、志村のアルバイト先の先輩であった氣志團もこの曲をカバーし、志村への想いを表現しました。

2018年には、俳優・歌手の菅田将暉が自身のアルバム『PLAY』で「茜色の夕日」をカバーし、新たな世代にもこの曲の魅力が伝わるきっかけとなりました。

3人体制以降の演奏

「茜色の夕日」は、フジファブリックの代表曲でありながらも、バンド最初期に制作された楽曲であるため、「志村の持ち曲」として特別な扱いを受けています。そのため、山内総一郎がボーカルを引き継いで以降は、以下の3回の例外を除き、ほとんど演奏されていません。

1. 2010年 志村正彦追悼ライブ「フジフジ富士Q」（奥田民生がボーカルを担当）
2. 2014年 日本武道館公演（志村のボーカルデータに合わせてバンドメンバーが演奏）
3. 2024年8月4日 東京ガーデンシアター公演「20th Anniversary SPECIAL LIVE 〜THE MOMENT〜」（志村のボーカルデータとギター音源に合わせてバンドメンバーが演奏）

これらの特別な機会においてのみ演奏される「茜色の夕日」は、ファンにとって非常に貴重な楽曲となっています。

収録曲について

シングル「茜色の夕日」には、以下の楽曲が収録されています。

1. 茜色の夕日: テレビ神奈川『saku saku』2005年9月度エンディングテーマ
2. 蜃気楼: 映画『スクラップ・ヘブン』エンディングテーマ。ピアノが印象的な楽曲で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が、金澤ダイスケをツアーのサポートメンバーとして起用するきっかけとなりました。
3. ムーンライト: カバー曲

「茜色の夕日」は、フジファブリックの原点であり、彼らの音楽性を象徴する重要な楽曲です。志村正彦の魂が込められたこの曲は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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