茨城県立坂東総合高等学校

茨城県立坂東総合高等学校（いばらきけんりつばんどうそうごうこうとうがっこう）は、かつて茨城県坂東市に所在していた公立の高等学校です。「坂総高（ばんそうこう）」という通称で親しまれていました。地域の産業振興と文化向上への貢献を目的として設立され、時代の変化に合わせて教育内容や校名を変えながら、地域教育の一翼を担ってきましたが、2022年に閉校しました。

沿革

本校の歴史は、1972年（昭和47年）に「猿島農芸高等学校」として開校したことに始まります。当初は農業系の専門高校として、園芸科、農業土木科、生活科の3学科が設置され、地域社会で活躍する人材や農業後継者の育成に力が入れられていました。

1985年（昭和60年）には改編が行われ、「茨城県立猿島高等学校」と改称されるとともに普通科が併設されました。これにより、より幅広い生徒のニーズに応えられる教育体制へと移行しました。

その後も教育内容の見直しは続き、1992年（平成4年）には農業土木科が緑地土木科に、生活科が生活科学科にそれぞれ名称を変更しました。しかし、社会情勢の変化に伴い、2002年（平成14年）には生活科学科の募集が停止されます。

大きな転換点となったのは、2009年（平成21年）の学科再編です。既存の学科を統合し、教育課程を刷新して総合学科へと改編されました。そして、2012年（平成24年）には、校名が「茨城県立坂東総合高等学校」へと変更され、最後の校名となりました。

最終的に、時代の流れの中で高校再編が進む中、2022年（令和4年）に茨城県立岩井高等学校と統合される形で、新しい茨城県立坂東清風高等学校が設立され、その歴史に幕を下ろしました。

教育内容と特色

閉校時の坂東総合高等学校は、全日制の総合学科単科高校であり、男女共学でした。総合学科としては、1学年あたり3クラス、定員120名で、3学年合計で9学級の規模を有していました。

教育課程の特徴は、1年次に共通科目を履修しながら、生徒自身が将来の進路や興味関心に基づき、2年次以降に所属する系列と自由選択科目を決定することでした。2年次からは、以下の5つの系列に分かれて、それぞれの専門分野を深く学ぶことができました。

人文系列: 英語や国語、社会といった文系科目を重点的に学び、主に大学や短期大学への進学を目指す生徒に対応した内容でした。
生物資源系列: 植物の栽培や加工に関する実践的な知識と技術を習得しました。実習が多く、卒業後は地域での就職を目指す生徒が中心でした。
環境デザイン系列: 環境保全や街並みの緑化といった分野に関心を寄せ、自然環境に関する学びを深めました。土木施工管理技士や造園施工管理技士などの資格取得を支援し、卒業後の就職に結びつけていました。
情報ビジネス系列: 情報処理や簿記などを通じて、高度情報化社会に対応できる知識や技能を身につけました。検定取得を推奨し、専門学校への進学や企業への就職を目指す生徒が多く所属していました。
* ライフデザイン系列: 衣・食・住に関する幅広い知識と技術を習得し、豊かな生活を創造するための学びを深めました。こちらも実習を通じて専門性を高め、就職を目指す生徒が多数でした。

このように、総合学科への改編後は、多様な生徒の興味や進路希望に対応できるよう、専門性の高い学びの選択肢が提供されていました。

環境

学校は、利根川と筑波山を遠景に望む猿島台地の自然豊かな環境に位置していました。広大な敷地を有し、緑に囲まれた落ち着いた学習環境は、特に実習を伴う農業系学科の流れを汲む系列の学習において恵まれた条件となっていました。在学中に取得を奨励されていた資格には、前述のもののほか、危険物取扱者などもあり、専門的な職業に直結する実践的な学びの機会が多く提供されていたことも特色の一つです。

卒業後の進路としては、近年の卒業生は地域内での就職や専門学校への進学を選択する者が多数を占めていましたが、創立当初の農業系学科が中心だった時代には、地域内で農業後継者となる卒業生も多く見られました。

茨城県立坂東総合高等学校は、地域社会に根ざし、時代の変化に応じた教育を提供することで、多くの卒業生を送り出してきましたが、その歴史は2022年の閉校をもって閉じられました。

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