草津八幡神社

草津八幡神社は、広島県広島市西区に位置する歴史ある神社です。その起源は、推古天皇の時代にまで遡ります。当初は、多紀理姫命を海路の守護神として祀ったのが始まりとされています。その後、八幡神がいつ頃奉斎されたかについては明確な記録はありませんが、鎌倉時代以前に武蔵国渋谷郷（現在の東京都渋谷区）から来た社家の始祖が、宇佐八幡宮から八幡神を勧請し、以前から祀られていた「多紀理の宮」と合祀したことで、八幡宮が創建されたと伝えられています。

現在の社殿は、1931年に建てられたものです。この社殿は、広島市への原子爆弾投下時には爆心地から約5キロメートルの距離に位置しており、被爆の被害を受けました。しかし、その後修復され、現在に至っています。

祭神としては、主祭神に品陀和気命（ほんだわけのみこと）、帯中津日子命（たらしなかつひこのみこと）、息長帯日売命（おきながたらしひめのみこと）の三柱を祀っています。これに加え、相殿神として、多紀理姫命（たぎりひめのみこと）、湍津姫命（たぎつひめのみこと）、市寸島姫命（いちきしまひめのみこと）が祀られています。これらの祭神は、古くから地域の人々に信仰されてきました。

境内には、戎神社が摂末社として鎮座しており、胡子神を祭神としています。さらに、境外社として、いくつかの神社が点在しています。まず、鷺森神社（さぎもりじんじゃ）は、通称「べんてんさん」と呼ばれ、市杵島姫命を祭神としています。この神社は、広島市西区草津東に位置し、相殿神として金毘羅神も祀られています。次に、稲荷神社（いなりじんじゃ）は、倉稲魂神を祭神とし、草津本町に鎮座しています。龍宮神社（りゅうぐうじんじゃ）は、通称「りゅうぐうさん」として知られ、三少童命と三筒男命を祭神とし、草津東に位置します。住吉神社（すみよしじんじゃ）は、「すみよっさん」として親しまれ、綿津見神と三筒男命を祭神として、草津南に鎮座しています。また、胡子神社（えびすじんじゃ）は、「はまのえべっさん」として地域の人々に親しまれ、事代主神を祭神として草津浜町に位置しています。最後に、幸神社（こうじんじゃ）は、猿田彦命を祭神とし、草津東に鎮座しています。

これらの神社は、それぞれ地域の人々にとって大切な信仰の場であり、草津八幡神社を中心に、地域全体の信仰を支えています。交通アクセスとしては、広島電鉄宮島線の草津駅から徒歩約15分の場所に位置しており、比較的アクセスしやすい場所にあります。この神社は、歴史的、文化的に価値のある存在として、地域住民から大切にされています。

草津八幡神社は、古代からの歴史と、地域の信仰が深く結びついた場所であり、その存在は、広島市の歴史と文化を語る上で欠かせないものとなっています。神社を訪れることで、その歴史と文化を感じることができるでしょう。

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