荒井裕樹 (学者)

荒井裕樹（あらい ゆうき、1980年 - ）は、日本の文学研究者であり、二松學舍大学文学部の准教授を務めています。専門分野は障害者文化論と日本近現代文学です。東京都で生まれ、東京大学大学院人文社会系研究科を修了しました。

2009年には、博士論文「病者と障害者の文学における自己認識と自己表現の諸相」により、東京大学から博士（文学）の学位を授与されました。その後、日本学術振興会特別研究員、明治学院大学社会学部付属研究所研究員、東京大学大学院人文社会系研究科付属次世代人文学開発センター特任研究員を経て、現在の二松學舍大学文学部准教授の職に就いています。

荒井氏の研究は、障害者の文学や文化における自己表現、差別問題に焦点を当てています。その著書には、『障害と文学：「しののめ」から「青い芝の会」へ』、『隔離の文学：ハンセン病療養所の自己表現史』、『生きていく絵：アートが人を〈癒す〉とき』、『差別されてる自覚はあるか：横田弘と青い芝の会「行動綱領」』、『荒井裕樹対談集　どうして、もっと怒らないの?：生きづらい「いま」を生き延びる術は障害者運動が教えてくれる』、『障害者差別を問いなおす』、『車椅子の横に立つ人：障害から見つめる「生きにくさ」』、『まとまらない言葉を生きる』、『凜として灯る』、『障害者ってだれのこと?：「わからない」からはじめよう』などがあります。これらの著書を通じて、障害者を取り巻く社会の構造や、障害者の自己表現のあり方について、深く掘り下げた議論を展開しています。

特に、『障害者差別を問いなおす』は、障害者差別問題に対する社会の意識を問い直し、多くの読者に影響を与えました。また、『まとまらない言葉を生きる』では、言葉にならない感情や経験をどのように捉え、表現していくかという、現代社会における重要なテーマを扱っています。

荒井氏は、研究活動に加え、社会的な活動にも積極的に関わっており、障害者問題に関する講演や執筆活動も精力的に行っています。その活動は、障害者だけでなく、広く社会全体の意識改革に貢献しています。

2022年には、その長年の研究活動と社会貢献が評価され、第15回わたくし、つまりNobody賞を受賞しました。これは、荒井氏の学術的な業績と社会的な影響力の両面を認めたものです。

荒井裕樹の研究は、文学の枠を超え、社会学や倫理学など、様々な分野に影響を与えています。障害者問題に対する社会の無関心や偏見を打破し、よりインクルーシブな社会の実現を目指す上で、その研究は不可欠なものとなっています。

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