荒井陸

荒井 陸（あらい あつし）

略歴

荒井陸は、1994年2月3日に生まれた日本の男子水球選手である。その競技人生は、小学校低学年の頃に始まった。兄が水球をしていたのを見て興味を持ったのがきっかけだが、水中では足が地面につかず、ボールは片手でしか扱えず、そして泳力が必須という、他のスポーツにはない独特の難しさを感じたという。しかし、その困難さがかえって彼の反骨心に火をつけ、水球の世界へ深く入り込んでいった。

キャリアにおける大きな転機は、2016年に訪れた。32年ぶりのオリンピック出場を果たした水球日本代表チーム「ポセイドンジャパン」のメンバーとして、リオデジャネイロの舞台に立ったのである。結果は残念ながらグループステージ敗退となったものの、長年の努力が実を結んだ歴史的な一員として名を刻んだ。

リオ五輪後も挑戦は続き、水球大国として世界をリードするハンガリーへ渡った。2017年まで、現地の名門クラブ「HONVED」に所属し、世界トップレベルの環境で自らを磨き続けた。この海外での経験は、彼の競技力向上に大きく貢献したと言える。

特徴

水球は「水中の格闘技」とも呼ばれるほどフィジカルコンタクトが激しいスポーツであり、世界のトッププレーヤーは平均身長が190cmを超えるなど、体格が有利に働く傾向が強い。その中で、荒井陸は身長168cmと、決して大柄な選手ではない。しかし、その体格的なハンデを補って余りあるのが、彼の持ち味である俊敏な動きだ。小柄な体格を活かした素早い反応や、ディフェンスを撹乱する鋭い動きは彼の最大の武器であり、チームにおいて重要な得点源となるポイントゲッターとしての役割を担っている。

人物・現在の活動

荒井陸は競技生活とは別に、熱心なアイドルファンとしても知られている。高校時代からももいろクローバーZの熱狂的なファンであり、通称「モノノフ」として親しまれている。オリンピック出場後もその熱は冷めることなく、現在も彼女たちのライブに足繁く通っているという。荒井は、ももいろクローバーZの楽曲に多い応援ソングから大きなパワーをもらっていると語っており、「彼女たちの歌とダンスを見ているとすごく力をもらえました」と述べている。また、「水球を頑張っていなかったら、ももクロのこともこれほど好きにならなかったと思う」とも語っており、競技への情熱とファン活動が彼の人生において深く結びついていることがうかがえる。

近年、荒井は競技活動と並行して、水球というスポーツ自体の普及にも力を入れている。2022年3月時点では、YouTubeに自身のチャンネルを開設したり、TikTokを活用したりするなど、SNSを通じて積極的に情報発信を行い、水球の魅力を広く伝える活動を行っている。さらに、自身の水球経験を活かしたオリジナルアパレルブランド「Rough Well®︎」を立ち上げるなど、ビジネスの分野にも活動の幅を広げている。競技者としてだけでなく、多方面で活躍する存在として、水球界内外で注目を集めている。

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