荒手車庫

荒手車庫（あらてしゃこ）

広島県広島市西区草津南三丁目六番三号に位置する荒手車庫は、広島電鉄が管轄する路面電車の重要な車両基地です。宮島線の商工センター入口駅に隣接しており、同社の電車運行を支える上で欠かせない役割を担っています。ここでは、配属された様々な形式の車両に対する日常的な点検や整備が行われています。

歴史

荒手車庫の歴史は、かつて広島電鉄宮島線が開通した当初、現在の広電西広島（己斐）駅の傍らに設けられていた「己斐車庫」に遡ります。長年にわたり広島市西部の車両基地として機能していましたが、太田川の河川改修事業が計画されたことに伴い、移転が必要となりました。そして、昭和28年（1953年）に、現在の草津南へと場所を移し、「荒手車庫」として再出発を切りました。この移転は、当時の社会インフラ整備と軌を一つにするものであり、広島電鉄の歴史における重要な出来事の一つと言えます。

機能と役割

荒手車庫の主な機能は、ここに配属された車両の日常検査および整備です。安全かつ安定した運行を維持するため、車両の状態を細かくチェックし、必要な手入れを行います。また、車両の留置場所としても機能しており、効率的なダイヤ編成や車両運用を可能にしています。

地理的には広島電鉄宮島線のほぼ中間に位置しているため、運行上の重要な拠点となっています。特に、都心方面への通勤・通学客で賑わう朝のラッシュ時には、当車庫から直接電車が出庫し、隣接する商工センター入口駅を始発とする列車が数多く設定されています。これにより、利用者の多い区間での輸送力増強に貢献しています。

主に、広島駅と広電宮島口駅を結ぶ広島電鉄の主要系統である2号線の運行を担当する車両が多く配備されています。この路線は、広島市の中心部と西部の住宅地、さらには観光地である宮島への玄関口を結ぶ幹線であり、その安定運行を荒手車庫が支えています。

在籍車両

荒手車庫には、広島電鉄が保有する多岐にわたる形式の路面電車が配備されています。具体的には、以下の形式の車両が見られます。

3100形
3700形
3800形
3900形
3950形
5000形（GREEN MOVER）
5100形（GREEN MOVER max）
5200形（GREEN MOVER apex）

これらの車両は、それぞれ異なる性能や特徴を持っており、広島電鉄の多様な輸送需要に対応しています。超低床車両である5000形、5100形、5200形などが多数配備されていることは、バリアフリー化が進む現代の路面電車事情を反映しています。

周辺環境

荒手車庫が位置する草津南地域は、商業施設やビジネス拠点が集まるエリアです。近隣には、大型ショッピングモールのアルパークをはじめ、イベント会場やスポーツ施設としても利用される広島サンプラザ、企業活動を支援する広島市中小企業会館などがあり、賑わいのある環境にあります。また、広大な敷地を持つ商工センター地域にも近く、交通の便が良い立地です。

荒手車庫は、これらの周辺施設を利用する多くの人々にとっても、広島電鉄の運行を介して身近な存在となっています。

まとめ

荒手車庫は、広島電鉄の路面電車網において、車両の維持管理、運行計画における重要な役割を担う施設です。歴史的な背景を持ちつつ、現在の効率的な運行、特に2号線の安定輸送や朝ラッシュ時の増発に貢献しています。多様な形式の車両が配置され、日夜その機能を発揮することで、広島市民や来訪者の足として親しまれる広島電鉄の路面電車の安全・快適な運行を舞台裏から支えています。

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