荒牧重雄

荒牧重雄について

荒牧重雄（あらまき しげお）は、1930年9月9日生まれの日本の地球科学者であり、東京大学名誉教授です。火山学の第一人者として知られ、特に「pyroclastic flow」に対する訳語として「火山砕屑流（火砕流）」という言葉を提唱したことで知られています。英文学者の荒牧鉄雄を父に持ちます。

経歴

荒牧重雄は、1957年に東京大学理学部助手に就任後、フルブライト奨学生としてペンシルバニア州立大学に留学しました。1961年には「Geology of Asama volcano（浅間山の地質）」に関する研究で理学博士号を取得。その後、東京大学地震研究所助教授、ペンシルバニア州立大学客員研究員を経て、1975年に東京大学地震研究所教授に就任しました。1991年に東京大学名誉教授となり、その後も北海道大学理学部教授、日本大学文理学部教授、山梨県富士山科学研究所所長などを歴任しました。

社会的活動

荒牧重雄は、日本火山学会会長（1986年 - 1988年）や国際火山学及び地球内部化学協会会長（1988年 - 1991年）など、学会の要職を歴任しました。また、日本学術会議会員（1995年 - 2000年）として、学術の発展にも貢献しました。

受賞歴

その功績から、1973年に日本地質学会賞、2003年と2004年には防災功労者として防災担当大臣表彰と総理大臣表彰を受賞。また、2008年には日本火山学会賞、2007年には赤木賞、2013年にはクラフト・メダルを受賞しています。

研究内容

荒牧重雄の主要な研究分野は、火山岩石学と火山地質学です。浅間山や熊野酸性火山岩類など、国内外の多くの火山を対象に研究を行いました。近年では、富士山ハザードマップ検討委員会の委員長を務めるなど、火山防災にも尽力しています。

主な論文

荒牧重雄, 宇井忠英「阿多火砕流の14C年代 : 日本の第四紀層の14C年代 XXI」『地球科学』1965年
荒牧重雄「姶良カルデラ入戸火砕流の14C年代 : 日本の第四紀層の14C年代 XXII」『地球科学』1965年
荒牧重雄『カルデラ』 1997年
荒牧重雄, 宇井忠英「阿多火砕流と阿多カルデラ」『地質学雑誌』1966年
中村一明, 荒牧重雄, 村井勇「火山の噴火と堆積物の性質」『第四紀研究』1963年
荒牧重雄, 羽田忍「熊野酸性火成岩類の中部および南部の地質」『地質学雑誌』1965年
荒牧重雄「鹿児島県国分地域の地質と火砕流堆積物」『地質学雑誌』1969年
荒牧重雄「Pyroclastic Flowの分類」『火山.第2集』1957年
荒牧重雄、「噴火現象の分類とメカニズム」 『火山.第2集』1975年
荒牧重雄「カルデラ学説に関するいくつかの問題」『火山.第2集』1969年
佐藤和郎, 荒牧重雄, 佐藤純「浅間火山におけるγ線の放射能強度分布」『東京大學地震研究所彙報』1978年
葉室和親, 荒牧重雄, 加賀美英雄, 藤岡換太郎「東伊豆沖海底火山群 : その1」『東京大學地震研究所彙報』1980年
荒牧重雄, 「日本の火山と噴火災害」『関東学院大学人間環境研究所所報』2012年

その他

荒牧重雄の研究業績は、日本の火山学の発展に大きく貢献しました。その知識と経験は、火山災害の軽減にも役立てられています。

外部リンク

荒牧重雄 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
* 論文一覧（KAKEN、CiNii）

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