荒田川 (岐阜県)

荒田川と新荒田川の概要と歴史

荒田川（あらたがわ）と新荒田川（しんあらたがわ）は、岐阜県を流れる一級河川であり、木曽川水系の重要な河川です。これらの川は、岐阜市、各務原市、羽島郡笠松町を巡り流れています。荒田川は長良川や揖斐川を経て伊勢湾に至る木曽川の三次支川の一つであり、新荒田川は北派川を経て木曽川の二次支川として機能しています。

新荒田川は金華山周辺の湧き水を始め、各務原市那加岩地町近くで境川から分岐した水流と岐阜市高田で合流し、西へと進みます。さらに、入舟町で岩戸川と合流した後に羽島郡笠松町で境川に戻ります。一方、荒田川は岐阜市加納舟田町で新荒田川から分離し、次木で論田川と合流、その後日置江で長良川に入ります。現在、荒田川は新荒田川の支流の位置づけとなっています。

歴史的背景

古代において、木曽川本流は境川や荒田川の流路を通っており、長良川に合流する風景が見られました。また、江戸時代には荒田川が加納輪中を蛇行し、南側に「百曲堤」という名の天然の堤防が作られていました。この堤防は加納藩主によって約400年前に築かれ、地域の水防活動の一部となっていました。

明治時代に入ると、荒田川や境川の水位改善に向けた提案がなされ、1887年から始まった木曽三川分流工事により大規模な川の改修が実施されました。しかし、その時期には上流域が調整されず、地域住民は様々な水防策を講じました。

大正時代に入ると、工業の発展に伴い、急激な工業排水の増加が問題視されるようになります。特に、1917年の荒田川廃水事件では、工業排水が下流の農業や漁業に深刻な影響を与えました。地域の農民たちは団結して農業や漁業への影響を訴え、企業に対する抗議活動を行いました。結果として、一定の対策が講じられるものの、水質の改善には長い道のりがありました。

その後、1921年から木曽川の改修が始まり、新しい放水路が整備されることが議論されるようになりました。1930年代には荒田川上部と中部の2つの放水路が整備され、これにより水量の調整が進み、工業排水の影響が軽減されていきました。これらの取り組みは、地域の水質や環境を改善するための重要な過程となりました。

現在と未来

現在、荒田川と新荒田川は地域の人々にとって重要な水資源であると同時に、環境保護の観点からも注目されています。その流域では、地元の学校が校歌に荒田川を取り上げたり、地域のイベントで川との関わりを深める試みが行われています。今後も、地域の特性を生かした水環境の保全が求められています。

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