荒神山古墳

荒神山古墳の概要

荒神山古墳（こうじんやまこふん）は、滋賀県彦根市のいくつかの町に跨る重要な古墳です。前方後円墳の形状をしており、国の史跡に指定されています。また、出土した埴輪は彦根市の有形文化財に認定されています。この古墳は滋賀県で第2位の規模を誇り、4世紀末頃（古墳時代中期初頭）の築造とされています。

地理と形状

荒神山古墳は滋賀県の北東部、琵琶湖の東岸に位置する標高284.1メートルの独立丘陵、荒神山の尾根に建てられています。この地域には他にも数多くの古墳が存在し、全体で『荒神山古墳群』と呼ばれます。本古墳については2002年から2007年の間に詳細な測量調査と発掘調査が行われており、その成果が現在の古墳の理解に寄与しています。

古墳の形状は前方後円形で、前方部は北北西を向いています。墳丘は3段の構造を持ち、全長は124メートルです。これは滋賀県内で安土瓢箪山古墳に次ぐ第2位のサイズを伝えています。また、墳丘の外壁には葺石と呼ばれる石材が施され、各段では埴輪列も確認されています。埋葬施設に関しては未調査なので詳細は不明ですが、後円部の中心には盗掘の痕跡と思われる凹みが見つかっており、竪穴式石室があったのではないかと考えられています。

歴史的背景

荒神山古墳の築造時期は4世紀末頃で、古墳時代中期初頭に相当することが推測されています。この時期、近江地方では古墳の初期段階として前方後円墳が様々な流域で作られ、その後、ヤマト王権の影響を受けて新たな形式に変化していったことが考えられます。この琵琶湖地域における古墳の形成は、当時の水運をつかさどる権力者の存在を物語っており、その重要性を示しています。特に、琵琶湖を活用した交易が行われていた時代に、荒神山古墳が築かれたとされ、その被葬者は水運の支配者であったと考えられています。

また、荒神山古墳の近くには膳所茶臼山古墳も存在し、これもまた琵琶湖を通した当時の地域間交流を考察する上で重要な古墳とされています。さらに、南方約3キロメートルには稲部遺跡があり、古墳時代の初期から前期にかけての巨大な建物が確認されています。このことから、荒神山古墳との関連が窺われます。

調査と指定

荒神山古墳はその歴史的価値から多くの調査を経ており、2002年から2007年にかけて行われた調査では、古墳の詳細な解析が進められました。また、ヒトの手が加えられ、墳丘の一部は中世に削られたという記録もあります。そのため、現在の墳頂は平坦になっています。

国の史跡としての指定は2011年に行われ、さらに出土した埴輪は2015年に彦根市の有形文化財に指定されています。

出土品

出土品としては、発掘調査の際に発見された様々な種類の埴輪が挙げられます。具体的には、円筒形のものや家形、壺形などがあり、これらは彦根市の有形文化財として保存されています。特に開国記念館では、総数188点の埴輪が保管されています。

荒神山古墳はその存在から、古墳時代の文化や社会構造を探る手がかりとして非常に貴重な遺跡であり、今後の研究も期待されています。また、周辺の遺跡との関連性から、当時の人々の生活や交流の実態に光を当てる貴重な役割を果たしています。

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