菊屋百貨店

菊屋百貨店の歴史

菊屋百貨店（きくやひゃっかてん）は、青森市において長年愛されてきた百貨店であり、その起源は1935年10月1日に遡ります。この年、当時の板柳銀行の頭取でありロシア文学者でもあった菊池仁康によって、新町に木造3階建ての建物が建設され、開業の運びとなりました。その店舗は約600坪の広さを持ち、多くの市民に親しまれました。

文化的な役割

この百貨店には、数寄屋造りの和室が併設されており、茶道や生け花の授業、さらにはコンサートや展覧会が行える500人収容のホールも備えていました。菊屋百貨店は、第二次世界大戦前には青森市公会堂と共に、地域の重要な文化施設として機能し、「東奥美術展」や「青師コバルト会」の展覧会の会場としても活用されていました。

戦前から戦時中まで、菊屋百貨店は松木屋などの百貨店と共に青森市の新町商店街の中心的な存在であり、市内での競争においても栄華を誇りました。1937年には「百貨店法」が施行され、1938年には日本百貨店組合が設立されると同時に、松木屋や宮川と共に加盟し、さらなる発展への道を模索しました。

戦争の影響と再建

しかし1945年7月28日の青森大空襲により、店舗は焼失してしまいました。それでも菊屋百貨店は戦後、青森市内の百貨店の中で最初に営業を再開しました。1945年の復興は容易ではなく、多くの困難を乗り越え入店してきたお客様に対して、感謝の気持ちを持ちながら営業を続けました。

事故と閉店

ところが、1955年7月21日には、2階にあった特売場の床が抜ける重大な事故が発生しました。この事故では、買い物客45名が転落し、重軽傷を負う事態に至りました。この悲劇が影響し、わずか20年での閉店に追い込まれてしまう結果となりました。

支店の概要

菊屋百貨店は、青森市のほかにもいくつかの支店を展開しています。主な支店には以下のものがあります：

• - 菊屋マーケット：青森市松森町にあり、店舗面積は91坪。
• - 弘前出張所：弘前市代官町に位置します。
• - 八戸出張所：八戸市八日市に設置されていました。

ほかにも幾つかの支店を展開し、地域住民の生活に寄与していました。

まとめ

菊屋百貨店は、その歴史や文化的な役割を通じて地域に根付いた存在でした。特に戦後、再び営業を再開したことや、文化活動の場としての役割は今も地域の記憶に残っており、多くの市民に愛され続けた店舗であったと言えるでしょう。

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