華僑協会

華僑協会とは

華僑協会は、第二次世界大戦中、日本軍が占領した東南アジア各地で設立させた華人有力者による団体組織です。これらの協会は、日本軍の占領政策を円滑に進めるための協力機関として機能しましたが、その活動は強制的な献金や労働動員など、華人社会に大きな負担を強いるものでした。

設立の背景

1942年、日本軍は東南アジア各地を占領すると、占領地の安定化と資源の効率的な収奪を目的として、現地の有力者を組織化する動きを強めました。その一環として、各地の華人社会においても、有力者たちをまとめ、日本軍の政策に協力させるための組織として華僑協会が設立されました。

各地での設立状況

マラヤ：1941年12月、日本軍がペナンを占領した際、「華僑協会」の結成が指令されました。1942年2月には、ジョホール州ムアルで対日協力のための「治安会」が組織されました。
シンガポール：1942年2月、シンガポールを占領した日本軍は、華僑粛清の集団検問で拘束した有力者たちを脅迫・説得し、日本軍に協力する民族団体を結成させました。その結果、「昭南華僑協会」が発足し、華僑連絡員として活動を開始しました。初代主席には林文慶が就任し、副主席には黄兆珪、理事長には呂天保が選出されました。当初は吾廬倶楽部を事務所としていましたが、後に中華総商会に移転しました。
北ボルネオ：1942年8月、ボルネオ守備軍の占領下で、クチンの長老である王長水を会長とする「華僑協会」が結成されました。

強制献金

華僑協会の重要な役割の一つに、日本軍への強制献金がありました。マラヤでは、昭南華僑協会が中心となり、マレー半島各地の華僑協会を統括し、総額5,000万海峡ドルの献金を強要しました。各協会の代表者は献金の責任を負わされ、資産査定に基づいて割り当てられた金額を、過酷な取り立てにより徴収しました。このため、華僑協会は華人社会から恨みを買い、非難の対象となりました。

その他の活動

移民による開墾：1944年以降、食料不足と連合軍の反攻を懸念した日本軍は、昭南華僑協会に命令してシンガポールの華人住民をエンダウ入植地に移住させようとしました。しかし、終戦までに移住したのはごく一部でした。
勤労奉仕隊：昭南華僑協会は、日本軍の各部隊のための勤労奉仕隊を取り仕切りました。しかし、実際には給料が支払われなかったり、日本兵から暴行を受けたりするなど、待遇は劣悪で、応募者は次第に減少しました。その後、勤労奉仕隊に代わる組織として「協警会」が組織されました。
慈善活動：難民収容所の設立や炊き出し給食など、市内の秩序回復に協力しました。

終戦後の影響

終戦後、華僑協会に協力した華人の有力者たちは、対日協力者として非難され、一部は香港へ亡命しました。林文慶博士も一時「漢奸」と呼ばれました。

まとめ

華僑協会は、日本軍の占領政策を遂行する上で重要な役割を果たしましたが、その活動は強制的な献金や労働動員など、華人社会に大きな負担を強いるものでした。その結果、華僑協会は華人社会からの信頼を失い、終戦後には多くの関係者が非難を浴びることとなりました。

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