華春瑩

華春瑩（ホァ・チュンイン）は、1970年4月24日生まれの中国の外交官であり、報道官としても広く知られています。彼女は、中国共産党幹部の家庭に生まれ、南京大学外国語学院英語系を卒業後、外交部に入部しました。既婚者であり、一児の母でもあります。

報道官としての彼女は、記者会見で硬い表情で中国政府の公式見解を繰り返すことで知られています。2012年11月に報道官に就任して以降、中国の立場を明確に伝える役割を担ってきました。

2019年2月中旬から一時的に公の場から姿を消し、失脚説も流れましたが、同年6月には中国共産党中央党校での研修を受けていることが確認されました。その後、外交部報紙媒体司司長（報道局長）に昇進し、女性として2人目の報道局長となりました。これは、初代報道局長の龔澎以来の快挙です。

彼女のキャリアは、西欧畑での勤務経験が長く、駐シンガポール大使館や駐EU大使団での勤務も経験しています。2021年10月には、外交部部長助理（外務次官補）に就任し、報道、儀典、翻訳を担当しました。2024年5月には、外交部副部長（外務次官）に昇任し、外交官としてのキャリアを着実に積み重ねています。

華春瑩の発言は国際社会でも注目されており、特に新疆ウイグル自治区の問題に関する彼女の見解は、西側諸国との間で大きな議論を呼んでいます。アメリカ政府が新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族への弾圧を「ジェノサイド」と認定したことに対し、彼女はこれを「西側諸国が捏造した虚構」と強く反論しました。彼女は、この問題は反中国勢力による偽りの主張であり、中国国内にはそのような事実は存在しないと主張しています。

2022年8月には、台北市に中国料理店が多数存在することを根拠に台湾の領有権を主張し、一部から嘲笑を買う場面もありました。これは、彼女の強硬な姿勢を示す一例として捉えられています。

華春瑩の趣味はテニスであり、多忙な外交官としての業務の合間にリフレッシュしているようです。

彼女のこれまでのキャリアを年表形式でまとめると、以下のようになります。

1970年：江蘇省淮安市淮陰縣（現在の淮陰区）で誕生。
1988年：淮陰縣で最優秀の成績を修め、南京大学に入学。
1993年 - 1995年：外交部西ヨーロッパ司職員。
1995年 - 1999年：駐シンガポール大使館随行員、三等書記官。
1999年 - 2003年：外交部西ヨーロッパ司三等書記官、副処長。
2003年 - 2010年：駐EU大使団二等書記官、一等書記官、参事官。
2010年 - 2012年：外交部ヨーロッパ司参事官。
2012年 - 2019年：報紙媒体司副司長兼報道官。
2019年 - 2021年：報紙媒体司司長兼報道官。
2021年 - 2024年：外交部部長助理。
* 2024年 - 現在：外交部副部長。

華春瑩は、中国の外交を代表する重要な人物の一人として、今後も国際社会で大きな影響力を持つと考えられます。

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