菱餅

菱餅とは

菱餅は、3月3日の桃の節句、ひな祭りに飾られる伝統的な和菓子です。菱形に形作られた餅で、雛人形と共に供えられ、桃の節句の行事食として親しまれています。

色と形

一般的には、赤、白、緑の三色で構成されていますが、地域によっては二色や五色、七色と異なる場合もあります。これらの色はそれぞれ意味を持ち、菱餅に込められた願いや歴史を表しています。

赤い餅:
先祖を敬い、厄を祓う意味が込められています。
山梔子（くちなし）の実で色付けされ、健康を祝う意味があります。
桃の花を象徴するとも言われています。
白い餅:
清浄さを表し、純粋な心を表す意味があります。
雪解けの残雪を模しているとも言われています。
菱の実を入れ、血圧を下げる効果を期待する意味もあります。
緑の餅:
当初は母子草（ハハコグサ）を使用していましたが、「母子草をつく」という言葉の連想から、蓬（よもぎ）に変わりました。
蓬の新芽は穢れを祓うとされ、萌え出る若草を象徴しています。
増血効果も期待されています。

菱形という形には、健康長寿を願う意味が込められています。

歴史

現在の菱餅の形になったのは江戸時代からとされています。それ以前は異なる形や色で作られていたと考えられます。長い歴史の中で、菱餅は人々の生活や文化に深く根付き、桃の節句を彩る大切な要素となっています。

各地の慣習

菱餅は、地域によって様々な慣習が見られます。

静岡県: 一部の地域では、菱形ではなく三角形の三角餅が用いられています。
京都市: 菱餅の代わりに、あこや餅を使用することがあります。
三重県: 三角餅を雛祭りに親元に持参する風習があります。

関連事項

桃の節句: 3月3日に行われる、女の子の健やかな成長を願う行事です。
雛あられ: 桃の節句に雛人形と共に飾られる、米を加工したお菓子です。
雛祭り: 桃の節句の別名で、雛人形を飾り、菱餅や雛あられを供える風習があります。

菱餅は、見た目の美しさだけでなく、それぞれの色や形に込められた意味を知ることで、より深く桃の節句を楽しむことができるでしょう。日本の伝統文化を代表する和菓子として、これからも大切に受け継がれていくでしょう。

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