萩中美枝

萩中美枝（はぎなか みえ）の生涯と業績

萩中美枝（1927年8月7日 - 2021年4月4日）は、アイヌ文化の研究者として知られ、彼女の研究は今日でも重要な意義を持っています。彼女の夫である知里真志保もまた、アイヌ文化や言語の研究に貢献した著名な言語学者です。

生い立ち

美枝は北海道の様似郡様似村に生まれました。家業は麹製造であり、父親の萩中与三治のもとで育ちました。彼女は庁立旭川高等女学校、現在の北海道旭川西高等学校を卒業し、その後、郷里の国民学校で2年間の助教諭としての経験を積みました。

知里真志保との出会い

1948年の夏、様似町の友人の家で知里真志保と出会い、一緒にアポイ岳を登ることになります。この出会いが彼女の人生を大きく変えることになります。知里は美枝にアイヌ語やアイヌ文化の研究の世界へと導いていきました。

結婚と研究のスタート

1956年の8月、知里からの求婚を受け入れ、同年の秋に結婚しました。美枝はこの結婚を網羅的に支え、知里の研究に深く関わっていくことになります。特に1961年、NHKの「アイヌ伝統音楽」収集事業に取り組む中で、知里の推薦を受けてNHK札幌放送局に勤務することになります。

知里の看護と遺品整理

知里が病に倒れた後、美枝は彼の看護を献身的に行い、知里が亡くなるまで支え続けました。その後は知里の遺品整理や資料の管理に努め、彼女自身も研究活動を続けます。旭川市立博物館や北海道教育委員会の嘱託として多くのプロジェクトに参加しました。

教育者としての活動

美枝はまた、札幌学院大学、札幌大学、東海大学、北星学園大学、北海道教育大学などの教育機関で非常勤講師として教務に携わりました。彼女は日本口承文芸学会や北海道文化財保護協会の理事を務めるなど、文化・教育界での活動も広範囲に及びました。

研究業績

1962年に「さんぺい汁」に関する記事が『主婦の友』に掲載されて以来、美枝は30年以上にわたり、新聞雑誌や百科事典の記事を通じてアイヌ研究の成果を発表してきました。特にアイヌの口承文芸や食文化に関する研究を進めており、1964年から1969年にかけては知里真志保のノートの調査・保存を行う重要な役割を果たしました。

最後の年

2021年4月4日、萩中美枝は94歳でこの世を去りました。彼女の人生と業績は、アイヌ文化の発展に寄与し、多くの人々に影響を与え続けています。彼女の貢献は、次世代に受け継がれていくことでしょう。

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